ホワイトシェパードはジャーマンシェパードのブリーディングの過程で誕生した白い犬を交配に用いて誕生した犬種です。
シェパードといえば、怖そうな賢い犬として知られていますが、このホワイトシェパードは決してそうではなく、柔らかい雰囲気をしています。
穏やかで賢く、決して数は多くありませんが、日本でも一定数、飼育されています。
今回はそんなホワイトシェパードについて紹介していきたいと思います。
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目次
ホワイトシェパードってどんな犬?
時にホワイトスイスシェパードと呼ばれることもありますが、これはアメリカ、カナダで誕生したアメリカン・カナディアン・ホワイト・シェパードと区別するためであって、日本では基本的に同一扱いされています。
筋肉質で立ち耳・垂れ耳で、肉球や鼻の色はダークブラウン、毛色はホワイトのミディアムもしくはロングのダブルコートです。
性格もジャーマンシェパードより温和で扱いやすく、ペットとして飼われることが多いようです。
ただし、作業犬としての能力も高く、オーストリアではペットとしてよりも作業犬としての能力を重視した繁殖が行われ、災害救助犬等としても使われています。
ホワイトシェパードの産出の歴史
ホワイトシェパードの祖先は、警察犬などで知られるジャーマンシェパードですが、このジャーマンシェパードの中に、白い被毛の因子を持つ個体があり、繁殖の過程で白い被毛の犬が産まれていました。
しかし当時、ジャーマンシェパードに白の被毛は認められておらず、1960年代のドイツでは白色種の反対運動まで起き、ヨーロッパではほぼ絶滅することになります。
そんな事態を憂慮したアメリカやカナダのブリーダーが、白い仔犬だけを集め、毛色を白く固定して作出し、生まれたのがアメリカンカナディアンホワイトシェパードで、誕生後、すぐに公認されることになります。
1970代になると、そのアメリカン・カナディアン・ホワイトシェパードがスイスに持ち込まれ、より白く穏やかな性格のホワイトスイスシェパードが誕生しました。
以後、多くの国で人気に火がつき、次々と公認されていくことになります。
なお、世界的に見れば、別として扱われることが多い両犬種ですが、日本ホワイトシェパード犬協会では、原産地や血統で区別することなくホワイトシェパードとして扱っており、ホワイト・スイス・シェパードだけでなくアメリカン・カナディアン種も登録されています。
原産国として諸説ありますが、厳密にいうと、スイスとアメリカとなります。
少数ながらも日本でも飼育されています
日本では1990年代に輸入されはじめ、愛好家の増加とともに2001年に設立した日本ホワイトシェパード犬協会が、血統証やマイクロチップの管理を実施しています。
JKCがホワイトシェパードを公認犬種として登録したのは2004年と比較的、新しい犬ですが、JKCの2011年犬種別犬籍登録頭数によると、日本における飼育頭数は27頭とされています。
珍しい犬というのには変わりありませんが、希少犬というほどではないというのが日本国内での認識といえます。
ホワイトシェパードのしつけは難しい?
ですが、やはり賢いとされているホワイトシェパードだからこそ、しつけは慎重にしっかりと行う必要があります。
しつけは大声で強制するのではなく、静かでありながらポジティブなトレーニングが適しています。
賢い犬種なので、災害救助犬として活躍するほどの高いレベルの作業を身につけることも可能で、実際の一部の欧米諸国では災害救助犬として活躍しています。
また、ホワイトシェパードはカラダも大きく、運動性能が高いので、散歩もただ歩くのではなく、自由に走らせるのが理想です。
訓練性能の高いところを伸ばし、飼い主も一緒に楽しめるドッグスポーツであったり、災害救助犬としての資質も備えていることから、探知ゲームなどを日常の遊びに取り入れてみるのもいいでしょう。
アクティブな人には非常に相性の良い犬であるともいえます。
ホワイトシェパードとジャーマンシェパードとの違い
それではホワイトシェパードとジャーマンシェパードの違いとしては主に以下になります。
・体つき
・性格
・飼育難易度
それでは順に見ていきましょう。
色の違い、体つき
ホワイトシェパードとジャーマンシェパードの違いで、まず最初に上がるのが身体の色でしょう。
真っ白のホワイトシェパードはシェパード種はおろか、他の多くの犬種と比べても特異で、彼らならではの最大の特徴といえます。
また、体つきも若干、異なり、ジャーマンシェパードが一般的に背中のラインが極端に傾斜するスタイルであるのに対し、この種は平行的なラインを保っています。
筋肉質で精悍な体つきという本来のシェパード犬の良さを保持しつつ、独自の魅力も兼ね備えています。
性格の違い
性格的な違いとしてはホワイトシェパードはジャーマンシェパードと比べて、穏やかで柔和な性格に改良されています。
穏やかでおっとりとした性格と、シェパード特有の賢さを持ち合わせていて、大型犬でありながら室内飼育ができます。
シェパードはいくつもの種類に分かれているのですが、中でもホワイトシェパードは他の全てのシェパードと比べても攻撃的な部分がなく、大人しいという特徴があります。
また、子供や他の犬種とも優しく接してくれるので多頭飼いもできますし、しつけもしやすく、飼育の難易度は大きく下がります。
関連記事:軍用犬として活躍するジャーマン・シェパードはしつけが難しい?性格、大きさ、寿命は?
ホワイトシェパードの性格
先に触れたとおり、ホワイトシェパードは友好的で忠誠心が強いです。
主従関係をはっきりさせれば飼い主に服従し、言いつけを忠実に守ります。
また、ジャーマンシェパードよりも気質は優しく、攻撃的な面が抑えられています。
賢い頭脳を持つので、指示を先読みすることもあり、飼い主の声のトーン・顔つき・態度から心理を見抜き、飼い主が悲しそうなときにはそっと寄り添うような仕草を見せますし、喜んでいるときには甘えるような行動をとってくれます。
ですが、しつけがしやすいとされることが多々ありますが、これはジャーマンシェパードと比べたらの話で、犬種全体として見て、決してしつけが簡単な犬ではありません。
基本を守り、しっかりとしたしつけがするというのは飼育する上で外すことは出来ません。
ホワイトシェパードの大きさ
ホワイトシェパードは体高が55~66cm、体重が25~40kgほどの大型犬に分類されます。
真っ白な美しい被毛、整った顔、引き締まった体、太いシッポが特徴的です。
被毛はダブルコートで、アンダーコートもアウターコートも密集して生えています。
長さによってロングとミディアムの2タイプが存在し、カラーは白色で体全体が一色で覆われています。
寿命
ホワイトシェパードの寿命は、およそ10~12年といわれていますが、飼育環境により大きく変わります。
大型犬ながら室内で飼われていることが多いため、異変に敏感に気づいてあげられ早めにケアすることができるので、長生きさせることができます。
ホワイトシェパードの仔犬の価格
ホワイトシェパードの子犬の価格は30万円前後というのが目安です。
ジャーマンシェパードの子犬が約20万円前後で販売されていることを考えると、その希少性から少し割高になっています。
ペットショップにいることはなく、主にブリーダーから購入することになります。
ご存じの通り、成犬よりも産まれて間もない子犬の方が価格は高くなるのですが、ホワイトシェパードの場合、ほとんど価格に差はありません。
というのも、幼犬時のしつけが特に重要になるシェパードのような犬種は、このしつけが難しい時期を専門家の元で済ましていたということが一つの強みとなります。
事実、シェパードを飼いたいけれど、「しつけに自信がない」、「専門家に任せたい」という人が多いため、成犬の需要は決して少なくありません。
成長しても値段は下がることが少ないというのには、このような理由があります。
まとめ
警察犬として活躍するジャーマンシェパードとホワイトシェパードは、色だけでなく性格や行動まで異なります。
ホワイトシェパードが最初に公認となったアメリカでは誕生当時、違いは色のみとされていましたが、数十年の年月が経過し、ある程度の違いが現れてきたというのも興味深いところではあります。
また、アメリカとヨーロッパで繁殖の目的が異なったため、体型や色味、体質などが微妙に違いますが、温厚で甘えん坊で1匹1匹の顔立ちがはっきり違い、個性が出ています。
その美しい容姿、訓練性の高さ、友好的な性格からヨーロッパでは人気犬種となっています。
日本ではまだまだ認知度の低いホワイトシェパードですが、一度は触れてみたい犬種です。