犬というのは多くの種類が存在し、特徴や魅力はそれぞれで異なるのですが、中でもテリア犬というのは犬種の域を超えた存在として知られています。
また、一言でテリア犬といっても32犬種も存在し、それぞれで魅力や特徴は異なります。
今回は、そんなテリア犬各種の特徴や違い、大きさや原産国について見ていきましょう。
目次
テリア種ならではの特徴
テリア種は、頑固・勇敢・大胆・機敏・活発・忠実などの特徴を持っていると言われており、「本能のままに生きる犬」という言葉がとてもよく当てはまる性格をしています。
というのも、もともと狩猟犬として生きてきたので、飼育犬となった今でも、本能的な部分で動いてしまう場合も多く、気が強い一面も残っています。
体の大きさは、犬種によってさまざまで、3㎏~30㎏と幅広く存在し、他の犬に比べて、とても筋肉質でたくましい感じのする犬が多いのも、テリア種の特徴です。
また、毛質もワイアーヘアーからショートやロングまで、様々なタイプがいます。
テリア犬の魅力
一言で「テリア犬」といっても、各種類によって見た目や性格には違いがあります。
そもそも「テリア」とは、ラテン語で「土を掘る」という意味で、生まれ故郷のイギリスでは、農作物に多大な被害を及ぼすキツネやタヌキなどの小動物を駆除する目的で飼育されていました。
巣穴を持つ害獣の場合、激しく吠えて穴から追い出すわけですが、中が見えない場合、直接、穴に飛び込む方法しかないため、行動に移すための勇敢さと高い運動神経が必須となりました。
そして、その害獣は様々なタイプが存在するため、テリアもまた様々な風貌の種類がおのずと作り出されるようになります。
そんなテリアですが、現在では室内で飼育されることがほとんどとなりましたが、小さな体からは想像もつかないほどの強い力を持っており、狩猟犬として活躍した時代の名残が色濃く残っています。
また、一見大型犬より筋肉が少ないため、運動能力もさほどないだろうと思われがちですが、足の速さとスタミナはピカイチです。
ヨークシャーテリア
ヨークシャーテリアは愛らしい顔と美しい被毛が最大の特徴で、「ヨーキー」の愛称でよく知られています。
日本で最も飼育頭数が多いテリア犬でもあり、古くから現在に至るまで人気犬種の一つでもあります。
上品で気品にあふれた性格であるとともに、とても賢く勇敢な性格も併せ持っています。
時にしつけが難しいとされることもありますが、上下関係や信頼関係をしっかり築くことで、飼い主のいうことを良く聞いてくれるようになります。
子犬の頃のヨークシャーテリアは、とても好奇心が旺盛で、オスの方がメスより甘えたな場合が多いのに対し、メスは年齢を重ねるごとに落ち着きを見せ、情緒も豊かになることが多いとされています。
原産国:イギリス
体高:18~23cm
体重:2~3kg
関連記事:「動く宝石」ヨークシャーテリアの性格、しつけは難しい?寿命、子犬の価格は?
ジャックラッセルテリア
ジャックラッセルテリアは古くはキツネを巣穴から追い出す役割を担っていたこともあり、穴を掘るのも得意中の得意です。
性格は、とても賢く活発で、誰とでも仲良くできるとともに、とても冷静なところもあります。
室内飼育は可能ですが、運動量が非常に多く、運動不足になるとストレスを溜めてしまうことがあるので、毎日のお散歩に加え、ドッグランで思いっきり走らせてあげるなどのケアが必要です。
また、先ほどもご紹介したように、非常に活発なため、草むらなどに飛び込んだりすると、思わぬところで皮膚に傷がついてしまったりすることがあるので、皮膚ケアは欠かせない犬種でもあります。
原産国:イギリス
体高:25~30cm
体重:5~6kg
関連記事:ジャックラッセルテリアは飼育が難しく初心者は避けるべき!性格、しつけ方法は?
ワイヤーフォックステリア
ワイヤーフォックステリアは「テリアの典型」とも呼ばれる犬種で、ドッグショー等で大変、人気があります。
ジャックラッセルテリアと比べるとやや大きく、ワイヤー状の被毛が最大の特徴です。
頭がとてもよく、楽しいことも大好きで、芸を覚えるのもピカイチです。
少し喧嘩っ早い一面もあり、向こう見ずな性格も影響して、しつけをする時には飼い主と忍耐勝負になることもしばしば。
もともと、狩猟犬として開発された犬種で、キツネ狩りをするために、穴からキツネを追い出す役割を担っていました。
現在では、狩りで使われることはほとんどなくなりましたが、高い狩猟能力は本能として今でも彼らの中で生き続けています。
時にしつけ、飼育が難しいとされているのには、こういった所によるものともいえます。
原産国:イギリス
体高:約39cm
体重:6.8~8.6kg
関連記事:テリア界の貴公子、ワイヤーフォックステリアってどんな犬?歴史、性格、大きさ、寿命は?
エアデールテリア
テリアの中で一番大きな体を持つエアデールテリアは、キングオブテリアと呼ばれて親しまれています。
元々は、イギリスのエアデールという渓谷で、カワウソ漁をするための猟犬として活躍していたこともあり、とても機敏な動きと鋭い嗅覚、そして強健な顎を持っており、猛獣にも勇敢に立ち向かっていきます。
生まれ故郷のイギリスでは、警察犬としても活躍しており、存在感は抜群です。
よく、しつけるのが難しいと言われますが、決してそんなことはなく、一度信頼した飼い主には忠実で、よく懐きます。
ただ、他のテリア犬と比べると、かなり大きいため、世話をするにあたって難しさというのはどうしても出てきます。
日本ではそこまでメジャーではありませんが、諸外国では人気のテリア犬でもあります。
原産国:イギリス
体高:56~61cm
体重:20~23kg
関連記事:テリア種のキング!エアデールテリアの性格と身体の大きさ&子犬の価格
スコティッシュテリア
頭が大きく、骨太でがっちりした体格であるにも関わらず短足なスコティッシュテリアは、「スコッティ」の愛称で知られ、とても人気の高い犬です。
愛嬌のある可愛い顔をしており、活発でとにかく元気ですが、負けん気が強く、プライドが高い一面もあり、典型的なテリア気質だと言われています。
特に、相手が犬の場合は、自分から仕掛け、出会い頭に吠えることもあります。
身体の大きさ的に小型犬に分類されていますが、限りなく中型犬に近いサイズとなっています。
加えて活発で体力もあるため、散歩や運動は十分にさせてあげる必要があります。
原産国:イギリスのスコットランド
体高:25~28cm
体重:8~10kg
関連記事:好奇心旺盛で頑固者!スコティッシュテリアの飼育方法~性格、大きさ、価格は?
トイマンチェスターテリア
トイマンチェスターテリアは、より素早く作業するための作業犬として、マンチェスターテリアを小型化することで誕生しました。
小型化されていく過程で無理がたたり、健康状態の悪い犬種となり、一時期は絶滅危惧犬種に登録されましたが、
現在では健康状態も改善され、愛玩犬として多くの人たちから大切にされています。
小型犬ですが、とても筋肉が引き締まり、とてもエレガントな容姿をしており、とても機敏で力強く、様々な作業に適した体格をしています。
性格は、とても優しく温厚で、仲間の犬や人間の子供に対しても、とてもフレンドリーに接してくれるため、小さいお子さんのおられる家庭でも、飼育しやすい犬です。
しかし、その分甘えん坊で寂しがり屋のため、飼い主がそばにいてあげられる時間が少ないと、時に問題行動を起こすことがあります。
原産国:イギリス
体高:25~30cm
体重:3~4kg
関連記事:英国産の超小型犬、トイマンチェスターテリアの魅力とは~飼育方法、性格、大きさは?
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日本テリア
日本テリアは17~18世紀に日本に入ってきた短毛のテリアと、日本国内にいた小型犬の交配により生まれた犬と言われています。
体の特徴としては、体長と体高がほぼ同じくらい、そして短毛種であること。
性格は、とても明るく活発で、人懐こく、子供や他の犬とも仲良くできるため、いわゆるテリア気質は弱いと言われています。
注意したい点は、慣れていない来訪者に対しては、警戒心を見せ、吠えることがあるので、サークルやクレートで待つ訓練をしておくことをオススメします。
また、体毛の長さは2mmほどしかないため、定期的なシャンプーと秋冬の寒さ対策が必要になってきます。
是非、犬用の衣類を着せて、暖かくしてあげるように心がけてください。
原産国:日本
体高:30~33cm
体重:4~5kg
関連記事:希少な和犬、日本テリアってどんな犬?歴史、性格、被毛と抜け毛、ブリーダーはどれだけ存在する?
ノーフォークテリア
場合によってはケンカ早い性格も持ち合わせているノーフォークテリアは、とても明るく陽気な性格をしていますが、自立心が強く、頑固な一面もあります。
また、普段はとても家族思いで、懐いていますが、気に入らないことがあると、たとえ飼い主のいうことであっても、聞き入れない一面があります。
ノーフォークテリアを飼育する上で大切なことは、子犬のうちからしっかりしつけをし、飼い主との信頼関係を築いていくことです。
散歩中も、興奮する等して制止が効かないことがあるため、しつけはもちろんですが、リードも離さないようにする必要があります。
原産国:イギリス
体高:25~26cm
体重:5~6kg
関連記事:
ノーフォーク・テリアの性格と身体の大きさ、寿命。子犬の相場は?
ミニチュアブルテリア
他の愛玩犬とは違い、意図的に交配で小さくしたのではなく、生まれつき大きいものと小さいものを分けるために、
ブルテリアと区別するようになったのがミニチュアブルテリア。
ミニチュアとついていますが、これはあくまでブルテリアと比べての話であって、中型犬に分類されます。
そして、れっきとした闘犬でもあります。
ミニチュアブルテリアの特徴は、体長と体高がほぼ同じで、骨格がガッシリしており、たくましい筋肉がついています。
一方で性格は落ち着いており、時々頑固な面が出ることがあったりと昔の闘犬時代の名残は残っていますが、争いを仕掛けるタイプではないため、穏やかです。
ところが、挑発されたり、追い詰められたりすると、それに反応してしまうこともあるため、どんな状況でも制御できるように、子犬時代から飼い主さんとの信頼関係を十分に築いておく必要があります。
家族愛にあふれており、子供に対してもフレンドリーに接してくれます。
原産国:イギリスのイングランド
体高:25~35cm
体重:10~15kg
関連記事:ミニチュアブルテリアのすべて~性格、大きさ、価格、飼育方法と気を付けたい病気
ボーダーテリア
世界最古のテリア犬種と言われるボーダーテリアは、もともとキツネを追い払うために作られた犬種で、14世紀ころから存在していたと言われています。
活発でとても穏やかな性格をしており、テリア種には珍しく人懐こいタイプです。
また、子供にもフレンドリーで、尻尾を触られたり、引っ張られたりしても、怒ることはありません。
ところが、もともと狩猟犬として活躍してきた犬種のため、げっ歯類などの小動物との共同生活には向いていません。
原産国:イギリスとスコットランドの境のチェビオト丘陵周辺
体高:21~28cm
体重:5.1~6.4kg
関連記事:イギリス原産の希少犬、ボーダーテリアってどんな犬?性格、大きさは?価格はかなり高額!
ケアーンテリア
石の隙間に入り込んだネズミを追い出し、捕獲する役割を果たしていたケアーンテリアは、
体長が体高よりやや長く、尻尾はまっすぐという特徴を持っています。
性格は、特徴的なテリア気質そのもので、とても勇敢で行動的なうえに、陽気で活発ですが、飼い主に対してはとても忠実です。
しかし、頑固で絶対譲らないという一面もあるため、家族や家庭内の他の動物とは友好関係を築けますが、他人や他の犬とは相性が難しいという側面もあります。
また、ケアーンテリアは小型犬ですが、先ほどもご紹介したように、とても活発なため、1回30分以上の散歩を、1日に2回以上行う必要があります。
特に注意すべき点は、初めて犬を飼育する人には不向きだということです。
頑固でしつけがしにくく、気が強いという部分を持ち合わせているため、根気よくトレーニングする必要があり、犬に振り回されず、毅然とした態度で接することが必要になります。
原産国:イギリスのスコットランド
体高:28~31cm
体重:6~8kg
関連記事:ケアーンテリアってどんな犬種?性格、大きさ、仔犬の価格の相場はどれぐらい?
まとめ
テリア犬と一言で言っても、現在、32種類もの犬種が存在します。
犬種が多様化することで細かく分類分けされてきた背景があり、同じテリア犬でも、それぞれで特徴や魅力は大きく異なります。
もともと、狩猟犬として活躍していましたが、家庭犬として飼育されるようになってからも、本能は色濃く残っており、どんなことにも全力投球で、好奇心旺盛です。
大半の子が人間のような子供のような一面も持ち合わせています。
一緒に遊んであげる時間がとれる人や、構ってあげたり世話が好きな人にはテリア種は特にオススメの犬でもあります。