シュナウザーといえば、やはりミニチュアシュナウザーが有名ですが、スタンダードシュナウザーは彼らのルーツとなった犬で、歴史も古く、14世紀頃には既に人と関わりを持っていました。
今回はそんなスタンダードシュナウザーの歴史、性格、被毛などについて紹介したいと思います。
目次
スタンダードシュナウザーの特徴
シュナウザーは3種類の犬種がいますが、中でもスタンダードシュナウザーは最も歴史が古く、他のシュナウザー達の元となった犬でもあります。
スタンダードシュナウザーの外見の特徴は、なんといっても長いヒゲと眉毛。
その姿は賢そうで、まるでおじいさんのような威厳さえ感じさせてくれます。
ヒゲというとスタンダードシュナウザーのオスだけにあるのではと思われるかもしれませんが、オスだけではなくメスもダンディなヒゲをたくわえおり、性別に関係なくスタンダードシュナウザーの特徴は「ヒゲ」です。
このユーモラスにも見える「ヒゲ」と「眉毛」は、ネズミを捕獲する際にネズミの反撃から守るためにあったのですが、現代でもその特徴はそのまま引き継がれています。
スタンダードシュナウザーの歴史
スタンダードシュナウザーは、14世紀のドイツで生まれました。
ワイヤーコートのピンシャーから作出され、間もなく、ネズミを駆除するために作られたのですが、後に牛を市場まで連れて行く牧羊犬、さらには農場の番犬として利用されるようになっていきました。
このように役割を変えながら使役犬として活躍し、ドイツでは人々と深いつながりを持つことになります。
なお、この関係は歴史的な作品からも垣間見ることができ、特に15世紀から16世紀のドイツの絵画や彫刻などに度々、登場しています。
その後、スタンダードシュナウザーが世界的に有名になったのは1879年のことで、当時のドッグショーに出場したことでその変わった風貌が注目されて世界的にその名前が知られるようになっていきました。
ちなみに、その時のドッグショーで勝った犬の名前が「シュナウザー」で、以来、一度も変わることなく呼ばれ続けています。
※ヒゲが犬種名の由来とされていることが多いですが、実はそうではありません。
スタンダードシュナウザーとミニチュアシュナウザーの違い
シュナウザーはサイズによって「ジャイアント」「スタンダード」「ミニチュア」の3種類に分かれています。
名前からも分かるようにジャイアントシュナウザーとミニチュアシュナウザーでは、体重が10倍、体高も2倍の差があり、同じシュナウザーでも大きさにはかなりの違いがあります。
それでは「ジャイアント」「スタンダード」「ミニチュア」の3種類の体高と体重を比較してみましょう。
体高:60cmから70cm
体重:35kgから45kg
体高:45cmから50cm
体重:14kgから20kg
体高:30cmから35cm
体重:4.5kgから7kg
各シュナウザーは顔つき、ヒゲ等はほぼ同じで、違いは単純に身体の大きさになります。
当然、見分け方も身体の大きさで判断するのですが、大きな種が成犬に達していない場合、見分けは難しくなります。
関連記事:3種類に分かれるシュナウザー、それぞれの違いと特徴は?
スタンダードシュナウザーの性格
農場犬として長い歴史を人間と過ごして来たスタンダードシュナウザーは、先祖の気質を受け継いでおり人と何かをするのが大好きな性格です。
温厚な性格で見た目のおじいさんのような威厳のある雰囲気とは裏腹に人と遊ぶのが大好きなので、一緒にいっぱいコミュニケーションを楽しみたいという飼い主さんにはピッタリの性格をしています。
見た目からするとあまり勇敢そうには見えませんが、かつて農場犬として活躍していた頃の気質をそのまま受け継いでおり、飼い主に知らない人が近づいて来ると飼い主を守ろうと吠えたりする勇敢な面もあります。
スタンダードシュナウザーの被毛の特徴
スタンダードシュナウザーの被毛は、針金状の硬い上毛と柔らかい下毛のダブルコートと呼ばれる被毛を持っています。
その被毛を手で触ってみるとその手触りはざらざらとしているのが特徴です。
ダブルコートというと抜け毛が多いのが一般的ですが、スタンダードシュナウザーはダブルコートのわりには抜け毛が少ないのが特徴です。
毛色の種類は少なく、グレーに近い色の「ソルト&ペッパー」と「ブラック」になります。
スタンダードシュナウザー特有の針金状の被毛を保つためには「プラッキング」と呼ばれる特殊なトリミングが必要になります。
日本での飼育頭数
日本においてはスタンダードシュナウザーの飼育頭数は極端に少なく、2012年のジャパンケネルクラブの登録件数はわずか4頭の121位、2017年度、2018年度にいたっては0頭でした。
それに対し、ミニチュアシュナウザーは犬種全体で6位の10071頭が2018年、新たに登録されました。
このあたりを見ても人気の差は歴然といえます。
関連記事:ミニチュアシュナウザーの歴史~犬種としての魅力をくまなく紹介!
居住スペースが狭く、小型犬が人気の日本では体が大きいスタンダードシュナウザーの飼育頭数が少ないのは致し方ないと思われがちですが、決してそうではないようです。
以下はスタンダードシュナウザーよりも大きなジャイアントシュナウザーの飼育頭数
2013年 20
2014年 31
2015年 23
2016年 26
2017年 30
2018年 13
このように毎年、一定数が登録されており、大きさだけが問題ではありません。
※おそらくブリーディング、販路の問題ではないかというのが有力です。
まとめ
スタンダードシュナウザーの特徴としては以下になります。
・勇敢で人懐っこい性格
・ダブルコートの被毛の割に抜け毛は少なめ
・プラッキングが必要
・飼育頭数が極端に少ない
そして、日本で人気のミニチュアシュナウザーの元となった犬でもあります。
スタンダードシュナウザーとミニチュアシュナウザーの主な違いは大きさだけなのですが、飼育頭数に雲泥の差があるというのも小型犬の人気が高い日本ならでは。
魅力ある犬ではありますが、ミニチュアシュナウザーの人気に押されているというのは紛れもない事実なのかもしれません。