今回は古来よりタイの王室で飼われてきたシャムについて紹介したいと思います。
日本でもそれなりに知名度があり、猫らしい性質、他の品種にはない特徴も備えてはいますが、実際にシャムを飼育している家庭はほとんどいません。
2020年の飼育猫種ランキングでも上位はおろか、20位以内にも入っていません。
街のペットショップでも目にする機会はほとんどないシャムですが、そこには全猫種の中でも飼育が極端に難しいという背景があります。
というわけで今回は、シャムという猫の特徴から、飼育が困難な理由についても見ていきたいと思います。
目次
シャムってどんな猫?
シャムは元々はタイに生息し、王室や貴族、寺院などの高貴な場所で飼われていた猫です。
日本では1950年代頃に人気が高まり、血統書と言えばシャムと言われていたことも。
非常に高い繁殖能力を持っており、日本国内でもシャムの交配によって、かなりの確率でシャムの毛色をした雑種が多く見られますが、シャム独特の特性までも遺伝する雑種は少ないと言われています。
シャムの大きな特徴の一つとして挙げられるのが瞳の色ですが、色はサファイアのように澄んだブルーが必須条件とされています。
また、よく鳴く猫ということもあって、集合住宅などで飼うのは適さないとされていましたが、品種改良が進み、必要以上に鳴かない個体が増えつつあると言われています。
シャムの歴史
原産国であるタイには、シィ・サワット(コラットの原型)、スパラック(バーミーズの原型)、シャム(サイアミーズ)の3種類が古くから生息していましたが、中でもシャムは王室・貴族・寺院などの高貴な家系でのみ飼うことが許されていた格式の高い猫でもあります。
1884年にイギリスの総領事であるゴードン氏に寄贈されたことからイギリス本国へと渡り、その後、ロンドンの「クリスタル・パレス」で行われたキャットショーでその特徴的な色合いが注目され世界に広がりました。
第二次世界大戦を挟んだことで、他の猫種と同様、絶滅の危機に瀕しましたが、交配を繰り返すことで難を逃れました。
そういった背景もあって、丸顔の傾向のあるトラッドスタイルと、ショーキャットの基準に準じた細身なモダンスタイルとの2種類が出来、その中間にあたるものがクラシックと呼ばれています。
シャムが飼いにくいとされる理由
飼いにくい猫種として度々、挙げられるシャムですが、理由はいくつかあります。
独特な被毛や猫らしい性質は確かに魅力的ですが、やはり飼いにくさという部分においては他の猫の比ではありません。
特に猫を初めて飼う初心者の方は注意が必要ですし、飼育経験がある方であっても、先住の猫や犬がいる、マンションで住んでいる方も飼育前に検討の余地があります。
人気は飼いやすい猫
猫、犬でも該当するのですが、日本では、やはり飼いやすい猫は人気です。
初めて猫を飼う方、マンション、一人暮らしの方は下記の飼いやすい猫から選ぶのが無難です。
活発
とても活発な一面もあり、慣れてしまえば飼い主にじゃれてよく遊びます。
また高いところが大好きなので、キャットタワーのような遊具も必要です。
もし上るところが無いと、カーテンなどに爪を立ててカーテンレールまで登ったり、柱によじ登って傷をつけたりするので、キャットウォークは必需品と言っても良いでしょう。
また降りられなくなって騒ぐこともあるため、注意が必要です。
賢く気難しい
とても賢いのが特徴と言えます。
しつければきちんと言うことを聞き、犬のようにリードを付けて散歩をすることも可能です。
しかし、賢いというのは飼育する上で難しい部分があるのも事実で、飼い主以外に懐くことは殆どありません。
自己顕示欲も強く、多頭飼いには向いていないですし、自分の気が向いた時間にエサが用意されていない等、自分の気に入らないことがあれば、飼い主の言うことも聞かず逃げてしまうなど、かなりわがままで自己中心的な部分もあります。
鳴き声がうるさい
シャムの特徴として、声が太く大きいため、鳴き声がかなりうるさいです。
留守中などは気を逸らして泣き止ませることもできないので、ずっと鳴き続けることがあります。
かつては「近所トラブルを招きやすい猫種No1」という、不名誉な称号を頂戴したこともあるほど。
さらに厄介なのは、その強い自己顕示欲のせいで、不満なことがあれば飼い主が在宅中であっても鳴き続けることがあります。
そういった意味ではマンションではなく戸建てのお宅の方が飼育には適しています。
個体差はあるものの、繁殖期にはうるさいほど鳴くので、場合によっては早めの去勢が必要になることもあります。
シャム猫の性格
頑固で気難しい一面はありますが、慣れると可愛い一面もあり、上下運動が好きなので飼い主の肩によじ登ってきたりします。
また、寒いところの出身とあって、とても寒がりで人の体温を恋しがりますので、飼い主のひざなどに乗って甘えてくることも。
クールな性格を持つ反面、飼い主とにぎやかに楽しく遊ぶことが好きなので、おもちゃなどで遊んであげるとよいでしょう。
しかし、気が向かないと全く興味を示さないこともあるので、その時は無理強いしないでそっとしておいてあげる等、お互いの距離間を大事にしたい猫でもあります。
そういった意味でも初心者には扱いずらい猫ともいえます。
被毛の色と特徴
シャムは全体的にクリーム色、白色ですが、両耳、顔、四肢、尾、睾丸などに茶色のポイントがあるのですが、ポイントの色の濃さによって呼び方は変わってきます。
色の分類は以下の4色あり、
「シール・ポイント」と呼ばれる薄いクリーム色をベースに黒褐色が入るもの、「チョコレート・ポイント」と呼ばれるアイボリーベースにミルクチョコレート色が入るもの、「ブルー・ポイント」と呼ばれる青みがかったホワイトベースに青灰色が入るもの、そして、「ライラック・ポイント」と呼ばれる寒色寄りのホワイトベースにかすかにピンクが混じったグレーが入るもの等があります。
なお、ポイントの色の濃さは、体温が大きく影響しており、体温の低い個所から毛色が発生します。
生まれたばかりは白い毛色に覆われていますが、耳やシッポの先など、身体の末端の体温の低い部分からポイント色が発生し始め、徐々に顔や足にもポイント色が出てきます。
そのため、老猫になるにつれて、全体的に色が濃くなる特徴があるのもシャムならではの特徴です。
まとめ
以上、シャムについて紹介しました。
猫に限らず多くの動物は生まれた時の毛色が変わることはありませんが、身体の温度で毛色が変わるというのは、シャムならではの特徴です。
時に色変わりの猫とも呼ばれ、非常に珍しい存在なのですが、ペットショップなどで見る機会がほぼなかったり、飼育する家庭が圧倒的に少ないのは、やはり飼育の難しさです。
関連記事:飼いにくい猫ランキングTOP5!初心者、一人暮らしは飼いにくい?
様々な方が家族に迎える猫を選ぶ際に、飼育のしやすい子を挙げる以上、シャムが人気上位に入ることは考えにくいですが、猫の飼育が豊富である、さらに今回、挙げたような問題がクリアできるのであれば問題なく飼うことができるはずです。