ジャーマンシェパードを飼うのは本当に大変です。
魅力はいくつもありますが、飼育するとなると相応の覚悟を持たなければなりません。
そもそも、ジャーマンシェパードはとにかく知能が高い犬です。
飼い主が自分より格下であると判断した場合、まったく指示を聞かなくなるので、子犬の頃から服従訓練を繰り返し行うことで主従関係を教える込む必要があります。
また、自分の強さを誇示する傾向があるために、飼い主や家族、時に他人に危害を加えることもあるので注意が必要です。
自分ではしつけられないと判断したら、専門家に依頼をしてください。
素人ではしつけが難しく、ドッグトレーナーなどの専門家に依頼する人が多い犬種としても知られています。
関連記事:軍用犬として活躍するシェパードはしつけが難しい?性格、大きさ、寿命は?
目次
初めて犬を飼う場合は別の犬種を
大型犬を飼うという事は、憧れだけでは難しいです。
これは今回のジャーマンシェパードに限った話ではありません。
飼った事がない人は「なんとか飼えるだろう」と安易に考えがちですし、
「小型犬とたいして変わらないだろう」
「近所の大型犬がとっても大人しくて、同じ犬種を飼いたい」
等と、頭の中のイメージで思いを馳せるのも良いですが、現実的に飼う為の準備や勉強をしっかりとしてください。
地域によっては「特定犬」として指定されており、飼うときのルールがあります。
茨城県では動物の愛護及び管理に関する条例として、定められた犬はオリの中で飼うこと、特定犬を飼育していることがわかる標識(ラベル)を掲示することとされています。
また、茨城県が定める特定犬種が8犬種なのに対して、佐賀県では10犬種が特定犬種として定められています。
何を持って危険とするかは人それぞれで変わってきますが、どちらにせよ、軽い気持ちで飼うことは避けておいた方がいいかもしれません。
なぜ飼育が難しい?
そもそもジャーマンシェパードはなぜ飼育が難しいのか?理由はいくつもあります。
ジャーマンシェパードという犬はオオカミと元は同じ種族、系統であり、その潜在能力は計り知れません。
賢さも丈夫さも闘争本能も防衛本能もすぐれている一方で、家族思いの深い愛情もあるということを踏まえた上で、しつけ育てていかなければならないのです。
幼犬期にきちんと訓練されないと支配欲が強くなり、とても攻撃的な性格になります。
また、一度このようになってしまった場合、再教育することが難しい犬種でもあるので、初心者の方の飼育には向いていないとされています。
飼育が難しい理由1 身体が大きい
体重は30~50kg前後で、大型犬に分類されるジャーマンシェパードは運動能力に優れ、筋肉質な体格でしっかりした足腰をもっています。
初期ブリーディング段階で洗練された体格に改良されており、力学的に無駄なく最少のエネルギーで最大限の活動ができるとされています。
そのため、厳しく的確な服従訓練が必要となるシェパードは、成犬になると成人男性でもコントロールが難しくなります。
飼育が難しい理由2 運動量の確保
シェパードに限らず大型犬は毎日の散歩時間を確保すること、コミュニケーションを頻繁にとることが必要です。
怠ると、体力や持久力を持て余したり、ストレスから凶暴になったりします。
最低でも1日2回、それぞれ1時間程度の散歩、散歩もただ歩くだけでは十分でなく、ボール投げやジョギングなど体も頭も使って能力を満たしてあげる必要があります。
たまにドッグランに連れて行って思い切り遊ばせてあげるのもいいですね。
問題行動につがなるストレスをためないよう、運動はしっかりと行いましょう。
信頼関係を築けるか
軍用犬や警備犬、番犬のイメージが強いシェパードですが、本来は愛情深く、友好的なため、育て方やしつけ次第では、穏やかで従順な家庭犬にもなります。
どんな厳しい訓練にも耐えうる性質を持ち合わせていますが、愛情を持って信頼関係を築いた上で接することが大前提です。
シェパードを家庭犬として飼育する場合は、屋内で人間のそばに置くことで自分に与えられた役割を考えようとし、信頼できる家族の一員となるでしょう。
反対に、外などで放置して飼育すれば、精神的な緊張から防衛能力や警戒心を前面に出すようになり、番犬としては優秀でも家庭犬としては不安定な性格になってしまいます。
目的に沿った飼育方法を行うこと、指示を与える人間とは訓練により強い信頼関係を築くことが、シェパードには一番大切です。
素人には難しいので、専門のドッグトレーナーやしつけ訓練士に任せる方が良いかもしれません。
特に幼犬の頃のしつけが重要
成長したシェパードを再教育することは困難なので、幼犬期からの一貫したトレーニングが必要不可欠です。
賢く優秀な犬種だからこそ、飼い主さんを自分より下と見下した場合コントロールができなくなります。
必ず愛犬とアイコンタクトを取りながらトレーニングし、飼い主さんに「従う」ということを理解させる訓練をしましょう。
子犬の頃から徹底的に服従訓練を繰り返し行うことによって、主従関係を知り主人の望みを自ら実践するようになります。
自信がない場合は、購入時にすでに訓練された個体を選ぶか、ドッグトレーナーにトレーニングしてもらうのが良いでしょう。
飼いやすいシェパード犬
飼育の環境が整っていて、どうしてもシェパードが飼いたいという場合は、他の種類のシェパード犬を選ぶという手もあります。
関連記事:シェパードの種類はどれぐらいある?それぞれの違いとは?
上記で紹介している通り、シェパードにはいくつもの種類があるのですが、中でもホワイトシェパード、オーストラリアンシェパードあたりは、人間に対して友好的で、飼育の難易度も大きく下がります。
しつけもしやすいので、犬の飼育経験が浅くても飼いやすい犬であるといえます。
シェパードならではの魅力も失われていないので、一度、検討してみるのもいいかもしれません。
魅力もあります
※2017/12/28追記
今回は、ジャーマンシェパードの飼育の難しさについて焦点を当てて紹介してきましたが、もちろん魅力もあります。
確かに性格面で難しい部分こそありますが、飼い主に従順で賢く、さらには隣でどっしりと構える姿はパートナーという言葉がぴったりですし、こういったシェパードならではの抜群の存在感は他の犬種ではまず感じることができないでしょう。
ですが、飼育が楽な愛玩犬が好まれる傾向が強い日本においては、「飼育にしっかりとした知識が必要な犬」は、早々に「難しい犬」、「怖い犬」といったレッテルを張られて敬遠されてしまいます。
事実、この記事を読んだ方の中には、「シェパードはやっぱり怖い犬なんだ」と思った方もいることでしょう。
ですが、しっかりとした知識の下でしつけを行えば、決して怖い犬ではありません。
確かに見た目も怖く、しつけは楽ではありませんが、沢山の魅力があるというのも同時に知ってほしい個人的に思います。
まとめ
今回はジャーマンシェパードの飼育の難しさについて紹介しました。
賢いからこそ、幼犬の頃からのしつけ方法、さらには飼い主との信頼関係を築けるかというのが最重要ポイントになります。
確かに魅力は多いですが、この部分をクリアできないとなると、飼うのは避けておいた方がいいでしょう。
誰にでも簡単におすすめできる犬種ではありませんが、一緒にトレーニングを行い少しずつ成長し合える過程も素晴らしいものです。
しつけられたシェパードと共に過ごす時間はお互いにとってかけがえのないものとなりますね。
※2017/10/20追記
ただ、厳しいだけでも、甘やかすだけでも良いしつけとは言えません。
この犬種の良さを生かすも死なすも飼い主さん次第です。
優秀な番犬とするのか、穏やかな家庭犬とするのか、飼育する前にしっかりとした飼育方法を考える必要があるでしょう。