大きく膨らんだ口や、顔や体のシワが最大の特徴で、なんとも悲しそうな表情に見えるユニークな犬ですが、実は食用として飼育されていたという歴史があります。
今回はそんなシャーペイをご紹介していきたいと思います。
目次
シャーペイってどんな犬?
シャーペイは中国が原産の犬種で、チベタン・マスティフが祖先といわれており、かつては体重が70kgもあったと言われています。
一方で、舌がブルーという特徴からチャウ・チャウが祖先であるという説も。
いずれにせよ、原産国である中国の古い資料が残っていないため、はっきりとしたことが解っていないミステリアスな面がある犬種としても知られています。
羊などの家畜の番をしたり、侵入者を追い払う番犬、さらには闘犬と様々な分野で活躍していましたが、実はこのシャーペイ、実は食用犬だったという側面もあります。
中国では犬を食べる習慣がある、と知られていますが、この犬はまさにその食用として飼育されていた過去を持ちます。
中国以外ではほとんど見かけられなかった犬ですが、第二次世界大戦後にアメリカに渡って繁殖され、1978年に世界で最も珍しい犬としてギネスブックにも紹介されています。
当時から珍しい犬種というのはいくつもありましたが、このシャーペイは中国産とあって、欧米諸国の犬と比べて知名度が低く、家庭での浸透度がほとんどない、さらには他の犬では見られないシワというのが決め手になったとされています。
シャーペイってどんな性格?
飼い主には明るい性格を見せ、冷静沈着で子どもともよく遊ぶ犬です。
ただ、知らない人に対する警戒心は強く、友好的ではありません。
人なつっこさがあまり見られず、小型犬など、他の犬に対する友好性も低いことがあります。
もともと闘犬、家畜を追う犬、侵入者を排除するといった役割を負っていた犬ですから、そうした気質が強く残っており、しつけが難しい部分もあります。
また、愛玩用ではなく食用犬として飼われていたという点からも、人や他の犬に対する友好度が低いのは仕方がないかもしれません。
シャーペイの寿命はどれくらい?
シャーペイの寿命は8~10年。
2015年の犬の平均寿命14歳(日本国内で飼われている犬の平均)に比べるとかなり短い印象があります。
日本では飼育されている多くの犬種が小型犬であり、かれらと比べて短くなるのは当然のことでもあるのですが、注目すべきシャーペイと同じサイズの中型犬と比べても2~3年ほど短命であるとされています。
シャーペイの寿命が短い理由
寿命が短い理由は諸説ありますが、最も考えられているのが、股関節形成不全、皮膚病、原因不明の熱病などになりやすいから。
さらに世界でも飼育頭数、飼育経験者が少なく、病気や繁殖に関する情報も少ないというのが実情で、その結果、寿命が短めになっているとも言われています。
世界で最も珍しい犬に認定されたこともあって、日本国内でも18頭程度しか飼われていません。(2015年1~12月の統計)
繁殖、流通もほとんどないので、今後も大きく増えることは考えられません。
シャーペイの身体の大きさ
大きくは中型犬に分類されます。
分厚く膨らんだ口元、顔から全身にかけて幾筋も走るシワが大きな特徴で、悲しそうな表情に見えるブサカワ顔が大きな魅力です。
シャーペイの飼育時の注意点
飼育の際のケアについては、短毛なのでブラッシングは週一回程度で十分ですが、皺の手入れは丁寧に毎日行う必要があります。
激しい運動は不要ですが、力を必要とする引き運動や、知的・精神的にも満足できるような変化・刺激のある遊びは欠かせません。
屋内だけではなく、屋外でも過ごす時間を設けてストレスが溜まらないようにしてあげる必要があります。
都心部の狭い屋内で飼うというよりは、自由に家の中と外を行き来できて、屋外で走ったり遊んだりできる庭がある家で飼うことが望ましいと言えます。
(この辺りはシャーペイに限らず、あらゆる大型犬に共通しています)
子犬の頃から十分な社会化、多くの人や他の犬達と触れ合う機会を設ける必要があるため、初心者にはハードルが高い犬といえるかもしれません。
注意したい病気
シャーペイはとにかく皮膚病に注意しなければならない犬種です。
身体中のシワの細やかな手入れが欠かせません。
シワとシワの間に寄生虫やゴミ・異物、湿気、汚れなどが溜まると皮膚病になってしまいます。
皮膚病は完治させるまでに長期間を要しますし、皮膚病で多く見られる「痒み」は犬にとって大きなストレスになります。
食事の度、水を飲む度に口の周りの皺をよく拭いて清潔に保つようにし、顔や首、体のシワもひとつずつ丁寧にタオルで拭いてあげましょう。
外耳炎にも注意
耳の中の掃除も怠ると寄生虫や外耳炎などの原因になります。
体の手入れが欠かせない犬種なので、生活に余裕があり、手入れに慣れた人向けの犬種だと言えます。
外耳炎についてはこちら
関連記事:犬がかかりやすい外耳炎とは?原因、症状、治療内容から予防方法
購入はブリーダーから
シャーペイは自身で国内のブリーダーを探すか、海外から輸入することになります。
ペットショップではまず見かけることがありませんし、よほどタイミングがよくないと取り寄せてもらうことも難しいです。
輸入する場合、多くが子犬というよりも1歳近い犬になっているのですが、これは狂犬病が発生していない日本の厳しい検疫制度があるから。
子犬のシャーペイを飼いたい場合は国内でブリーダーを探すか、オーストラリアなどの狂犬病が発生していない国のブリーダーを探してみてください。
費用の面から考えると、時間が掛かっても国内のブリーダーから購入するほうがお勧めです。
シャーペイは一回の出産で4~6頭の子犬を産みます。
予約をして兄弟犬を見せてもらい、相性のよい子犬を選ぶのが良いでしょう。
ブリーダーならシャーペイに関する詳しい知識を持っているので、購入後の飼育、しつけ等のアドバイスをもらうこともできます。
まとめ
めったにお目に掛かることのないシャーペイは、その生まれや歴史が余り知られていないというミステリアスな面があります。
悲しそうな表情にも見えますが、飼い主には明るく振る舞うユニークな犬で、アメリカでは根強い人気がある犬種です。
日本で見かけることはほとんどありませんし、日々の手入れが欠かせないこと、短命な点が飼育のハードルの高さを感じさせますが、機会があったら触れ合ってみたいですね。