ポメラニアンといえば、ふわふわな毛と丸みを帯びた身体をイメージする方が多いでしょう。
日本では古くから親しまれ、小型犬の中でも安定した人気を誇っています。
今回は、そんなポメラニアンを飼育する際の注意点と発症しやすい病気について紹介していきたいと思います。
ポメラニアンが持つ魅力や犬種としての特徴については下記で紹介しているので、そちらをご覧ください。
↓ポメラニアンは何位?
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目次
ポメラニアンってどんな犬?
ポメラニアンの名前の由来は、原産地のポメラニア地方(ドイツ・ポーランドにまたがる中欧)にちなんでいます。
ポメラニアンは大型のスピッツ犬、サモエドが祖先犬であると言われており、この地方では古来より様々なタイプのスピッツ系の犬が飼育されていました。
愛くるしい表情と小柄で上品な見た目から、ポメラニアンは愛玩犬に分類されがちですが、元々は中型のスピッツから品種改良をされて小型化されました。
ポメラニアンの祖先であるサモエド、そして品種改良の際に掛け合わされたジャーマン・スピッツですが、それぞれ狩猟犬や牧羊犬として活躍していたことから、ポメラニアンも同じような本能的な部分もあります。
ポメラニアンが流行犬種となった所以は、17世紀以降に多くの王族が飼育を始め、その中でもヴィクトリア女王が熱心に小型化の繁殖をしていたことで、ポメラニアンの大きさは半分程度までに小さくなり、更に流行に拍車がかかりました。
ポメラニアンの特徴については下記で詳しく紹介しています。
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ポメラニアンの飼育で気を付けたいこと
ポメラニアンの飼育で気をつけないといけないのは、見た目の通り被毛の手入れです。
昨今、この手入れを簡略化しようとポメラニアンのサマーカットが流行っておりますが、それでも換毛期には毛量の数だけ毛が抜けます。
毛も細いため、定期的に自宅でもブラッシングを欠かさないようにしてください。
また、小柄で足の細い犬種のため、肥満にはくれぐれも注意が必要です。
吠え癖、無駄吠えが多い
ポメラニアンと言えば『煩い』という印象が多いほど、吠え癖があったり無駄吠えがある個体が多いですが、ポメラニアンの歴史を見ても判る通り、本来は狩猟や牧羊犬が祖先です。
きちんとしたしつけを行わないと吠え癖を抑制することはできません。
「ポメラニアンは吠えても仕方が無い犬種」という間違った認識から、しつけを怠る飼い主が多いですが、きちんとトレーニングを行えばある程度抑制することは可能です。
ポメラニアンのしつけは難しい?
ポメラニアンのしつけですが、簡単ではありません。
ポメラニアンはとても賢く、人間を見てから判断をしますので、きちんとトレーニングのできない飼い主はすぐに主従関係が破綻します。
メリハリをつけ、きちんとトレーニングを行いながら接することができればこれ以上にないパートナーとなりますが、しつけを甘く見ているのであれば飼うことをオススメしません。
本やインターネットだけの知識ではなく、きちんとドッグトレーナーや訓練士などのプロに通い、その犬その犬にあったトレーニング方法を学んでください。
抜け毛が多い
ポメラニアンはその見た目のふわっとしたイメージがある分、毛量が多くなっており、抜け毛の量もかなり多いです。
ポメラニアンに限らず、多くの犬の被毛がアンダーコート(下毛)とトップコート(上毛)の2層からなるダブルコートという構造になっており、特にポメラニアンはこのアンダーコートの量が多いです。
抜け毛の時期は?
一般的に『換毛期(かんもうき)』と呼ばれる抜け毛の時期ですが、春先や秋口などの季節の変わり目だと言われています。
しかし、ポメラニアンのように室内犬として飼われている犬は、室内の気温が一定に保たれているため季節はあまり関係なくなっており、換毛期の時期にいたっても個体や環境によりまちまちになっています。
抜け毛対策は?
ポメラニアンの抜け毛対策ですが、1ヶ月に1度トリミングサロンに連れて行く他、自宅でも定期的にブラッシングを行ってください。
また、昨今「抜け毛対策で洋服を着せておく」という誤った情報が流れておりますが、ドッグウエアを着せたまま生活をさせると、本来皮膚の正常を保つための換毛がうまく行えず、皮膚が不衛生になったり、毛のもつれによって皮膚状態が悪化する場合があります。
後ほど記載していますが、ポメラニアンの皮膚状態を悪化させるようなことはオススメしません。
被毛が伸びにくい
ポメラニアンはプードル等とは違い、本来はトリミングが不要な犬種です。
当然、被毛は伸びはするものの、ある程度の所で伸びるのがストップされ、一定以上に長くなりません。
ですが、先程も述べた通り、換毛期が無く抜け毛が少ないプードルとは違って、ポメラニアンは換毛期によって被毛の量を調節しているので、トリミングをしなくても被毛の状態は一定に保たれるようになっています。
※ポメラニアンの場合、必要以上に短く切ることで、様々なトラブルに繋がることがあります。
関連記事:ポメラニアンのカットの種類~カットの前に注意しなければならないこと
ポメラニアンが気を付けたい病気
ポメラニアンは膝蓋骨脱臼と気管虚脱を発症することが多く、まれに「黒斑病(こくはんびょう」と呼ばれる遺伝性の皮膚疾患による脱毛症に罹患することもあります。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
ポメラニアンだけではなく、犬は後ろ足に“膝蓋骨”と呼ばれる“ひざのお皿”があります。
ポメラニアンは先天性のもので特にこの膝蓋骨が外れ(脱臼し)やすい犬種だと言われており、時折足を浮かせて歩くこともあります。
殆どの犬は膝蓋骨がはずれても足(関節)を伸ばしたりして自力で直したり、無症状である場合も多いです。
ですが、グレードが進行すると自力で直してもすぐに脱臼状態になったり、自力で直すことができなくなります。
異常が見られた場合はすぐに動物病院へ行ってください。
皮膚疾患
ポメラニアンは先ほども述べたように「黒斑病(こくはんびょう)」やそれに似た「クッシング症候群」「甲状腺機能低下症」「慢性皮膚感染症」などの皮膚疾患による脱毛症を発症することもあります。
皮膚にかゆみや赤身、黒ずみなどが原因で部分的な脱毛や体全体の被毛が薄くなってきた場合は動物病院で検査をしてみてください。
また遺伝性疾患以外にも、アトピー性皮膚炎やノミダニなどの外部寄生虫による皮膚炎、真菌(カビ)などによる感染症も原因で起こる場合もありますので、毛量の多いポメラニアンだからこそ、被毛のケアは欠かさず行うようにしてください。
まとめ
小型犬の中でも人気犬種に挙げられるポメラニアンですが、飼育の際は換毛期の抜け毛の多さ、日々のケアには気を付けなければなりません。
必要以上に被毛を短くすることで、様々なトラブルに繋がります。
サモエド、ジャーマンピンシャーを祖先犬に持つだけあって、しつけが難しい部分もありますが、子犬の頃からしっかりとしたしつけを行いさえすれば、大きな問題に繋がるようなことはありません。
今回は飼育時に注意すべき部分について触れましたが、人気上位の犬なだけあって魅力も沢山あります。
数多くの魅力に触れれば、多くの家庭で飼われている理由がすぐに理解できるはずです。