古くから人々と生活を共にしてきた猫。
ペットとして飼われるようになって以降、次々に新しい品種が誕生し、猫を飼おうとする人を悩ませ続けてきましたが、現在でも新しい猫は誕生しています。
今回は、近年になって誕生、公認となった新種の猫種を紹介したいと思います。
次々に誕生し続ける新種の猫
古くから様々な猫種が誕生してきましたが、新種の猫というのは日々、増え続けています。
① 突然変異で誕生した
↓
② 安定した作出を目指す
↓
③ 公認されるべく、安定した産出に取り組む
基本的に新種の猫というのは、これらの過程で生まれてくるわけですが、今回、紹介している猫たちも全て、こういった流れで誕生してきました。
・トンキニーズ
・トイガー
・キンカロー
・スクーカム
新たに作出された猫というだけあり、いずれの種も従来の猫では見られない特徴があったり、個性的な風貌の持ち主です。
それでは順に見ていきましょう。
ミヌエット
マンチカン×ペルシャ
過去20年間に誕生した新種の猫の中で最も知名度が高いのがミヌエット。
かつてはナポレオンという名で呼ばれていましたが、2015年に正式な猫種として認められ、ミヌエットの名に統一されました。
公認されたの年月は他の種と同程度ですが、飛び抜けた知名度を誇るのは、彼らが持つ魅力以外に、安定した産出により、安価で市場に出回っているというのも大きな要因でもあります。
ペルシャ猫にありがちな、距離を取りたがる子もいますが、比較的、飼いやすい猫としても知られています。
近年はブリーダーだけでなく、ペットショップでも購入できるようになりましたが、基本的に巻き毛が強いほど高額になっています。
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トンキニーズ
シャム猫×バーミーズ
シャム猫とバーミーズの交配によって誕生したトンキニーズ。
アメリカの猫として紹介されることも多いですが、最初の公認はカナダ。
公認は1974年で、当初はある程度パターン化されていましたが、現在のトンキニーズは毛色の種類がとにかく豊富。
まず、毛色はナチュラル、チョコレート、ブルー、プラチナ、ブルーグレー、ライラック、シャンパン、各色にはポイント、ミンク、ソリッド等の模様があり、それぞれを合わせると、何十種類ものパターンが存在します。
全く同じ模様の子を見つけるのが非常に難しい猫でもあります。
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トイガー
トイガーの特徴はなんといっても野生のトラのような模様です。
トイガーという名前も、おもちゃを意味する「toy」と「tiger」からなり、まさに小さなトラといった風貌をしています。
交配が開始されたのは1980年代に入ってからで、ベンガル猫をベースに、多様なトラの模様を持つ猫を集めて交配を繰り返し、2006年、TICAに公認されることに。
トイガーの性格は活発で好奇心旺盛、依存心も強くないため、飼いやすいタイプの猫といえます。
近年になってからの猫種ということで、ご家庭で飼う猫としては申し分ありません。
ただ、公認自体が比較的、最近になってからということもあり、品種としての特徴はまだまだ不安定な部分が多くなっています。
例えば、トイガーとして誕生したにも関わらず、模様がトラとはかけ離れていたり、性格が攻撃的な一面があることも。
さらには体重が5~10kgと幅が広かったり、猫種特有の気を付けなければならない遺伝性疾患が曖昧が曖昧である等、まだまだ個体ごとの差が大きいのが現状です。
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キンカロー
キンカローはマンチカンとアメリカンカールの交配種。
時にマンチカールと呼ばれることもあります。
TICAでは現時点でExpenrimental Breed(実験種)として扱われており、まだ正式な品種として公認されていません。
マンチカンの短い足とアメリカンカールの巻いている耳が特徴の、親猫の良いところを合わせたような猫として知られています。
身体的な特徴は、はっきりしており、一目見ただけで認識できる風貌をしています。
トンキニーズほどではありませんが、キンカローもブラック、クリーム、オレンジ、グレー、タピー等、被毛の種類が豊富。
大半が短毛種ではあるものの、手触りが心地よいのもキンカローの一つの魅力です。
性格は人懐っこく社交的、初めて会う人にも近づいていったりと、物怖じしない一面があったり、犬のように賢い部分も持ち合わせています。
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スクーカム
マンチカン×ラパーマ
スクーカムは短い足と巻き毛が特徴の猫です。
短い足はマンチカン、巻き毛はラパーマから引き継がれています。
独特な風貌はこれまでの品種では見られなかったもので、見た目のインパクトも手伝って、〇〇年の公認以来、瞬く間に知られるようになりました。
見た目に関しては、体型や骨格はマンチカン、被毛についてはラパーマ寄りで、初めて見た感じだと、巻き毛のマンチカンといった印象を持つかもしれません。
中にはラパーマのようなすらっとした体形で足が長い子もいますが、基本的に巻き毛が強く、足が短い子ほど高額になり、過去には50万円以上もの価格で販売されていたこともあります。
また、穏やかで人懐っこいので、初めて猫を飼う方やマンションでも飼うことができます。
このように魅力的な部分が沢山あるスクーカムですが、日本国内ではなかなか購入するチャンスがありません。
情報だけはありますが、実際には滅多にお目にかかれない貴重な猫でもあります。
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新種の猫の値段
新種の猫といっても種類は様々で、当然、値段もそれぞれで異なります。
例えば、今回紹介している猫の中で最も有名なミヌエットは、日本国内にもブリーダーが多数いるため、子猫の値段も20万円程度と安価です。
近年はペットショップで目にする機会も増えてきましたね。
これは品種として確立されており、市場に出回っている子の大半が基準に沿っているというのが主な理由なのですが、
このように産出が安定し、「(見た目の上で)同じような子」が多数、生まれてくることで子猫の価格は安定し、安くなる傾向があります。
一方、同じ新種の猫でもトイガーは違います。
ブリーダーはいるものの、生まれてくる個体数が絶対的に少ないのに加えて、産出が安定しておらず、個体ごとで見た目が大きく異なることがあります。
これは「みんなの子猫ブリーダー」のようなWebサイトをご覧になれば一目瞭然です。
基本的に、体の模様が本物のトラに近い子ほど高額になっているのですが、個体ごとで模様は大きく異なっており、
性別、生まれた年月日がほぼ同じであっても、一方が50万円、もう片方が30万円と価格に開きがあることも少なくありません。
新種の猫に限らず、販売価格は産出が安定しているか、そうでないかで決まる。 その価格の差は大抵は見た目の違いによるものでもある。
新種の猫ならではの難しさ
新種の猫には一般的な猫にはない難しさもあります。
どんな猫を飼うか選ぶ際、大半の方は下調べをしてから購入することになるかと思いますが、公認から日が浅い新種の猫というのは、事前の情報と大きく異なっている場合があります。
大人しくて穏やか、飼いやすい種であるはずなのに、飼いづらさを感じて手に負えないなんてことも十分にあり得るわけです。
さらには、猫種特有の遺伝性疾患が分からなかったり、大きさや体重が基準値を大幅に超えてしまったり、個性的な見た目で選んだのに、成長して模様が変わってしまった等。
このように、飼ってみないと分からない部分がある以上、ある程度、猫の飼育に関する知識を持つ経験者向けの猫といえるかもしれません。
まとめ
新種の猫というのは、たいていは人気の猫種同士の交配によって誕生しています。
今回、紹介したミヌエット、トンキニーズ、トイガー、キンカロー、スクーカムのいずれの種も魅力的で、他の品種では見られない特徴を持っています。
ですが、産出が安定していないため、飼育という意味では難しい部分があるのも事実。(ミヌエットを除く)
額面の情報と異なることも多く、初心者の方が飼うには、やや難易度は上がりますが、それでも彼らに引き付けられる人がおり、特にこの10年間で、飼育頭数は増え続けています。