今飼っている愛犬にお友達を作りたい、小型犬を飼っているけれど大型犬も魅力的、など、犬好きの方なら一度は多頭飼いを考えた事があるのではないでしょうか。
ですが、いざ多頭飼いをするとなると、やはり勇気がいるもの。
初めての経験では分からないことだらけですし、それも無理はありません。
ということで今回は、そんな多頭飼いの難しい部分や気を付けたいことについてまとめてみました。
多頭飼いを考えているならば、是非とも参考にしていただければと思います。
目次
多頭飼いは難しい?
新しく迎える犬種によっては、これまでの生活が大きく変わる事も考えられますし、しつけもまた最初から始めなくてはなりません。
それに当然ながら性格も違います。
しかしながら、一概に多頭飼いが難しいとは限りません。
犬同士の気が合ってしまえば、いつも飼い主が1対1で遊ばなくてもいい訳ですから、随分楽に感じられることもあります。
子犬の時期なら社交性の勉強にも一役買ってくれるでしょう。
すでに飼い主さんがきちんとリーダーとして、先住犬を導いているなら、多頭飼いのハードルというのは大きく下がるというのは、あらかじめ覚えておいてもいいかもしれません。
多頭飼いにコツはある?
多頭飼いするにあたって、一般的に先住犬を優先する、というのがセオリーとされていますが、あまりにそれにこだわりすぎると失敗を招くことがあります。
中には上に立つことがプレッシャーになる子もいます。
後から来た子が上位気質であったり、先住犬がそうではない場合、先住犬を優先しすぎるとかえって争いの原因になる事もあるのです。
もちろん最初は先住犬を優先すべきですが、性格や2匹(またはもっと)の様子をみながら最善の関係を築いていかせるようにしましょう。
多頭飼いで重要なのは、それぞれが大事にしているものは飼い主が必ず守ってあげるということ。
いつも遊んでいるお気に入りのおもちゃやベッドを相手に取られそうになったら、飼い主さんが注意して取り返してあげるようにしましょう。
なんでも上位犬のやりたい放題にしていいと言う事ではありません。
食事の順序や撫でる順番などは本人たちがさほど気にしてない場合もありますが、一方を撫でたら必ずもう一方も撫でてあげて下さいね。
これにより、取り合いをしなくても順番が回ってくることを学んでくれ、あらゆる事に対して犬達は折り合いをつけていきます。
自分たちが納得した順番に落ち着いたと思ったら、それを覆さないように配慮してください。
ちゃんと先住犬をたてているのに喧嘩をしたり、飼い主さんとの分離不安が一向に良くならないような時は、無理な役目を押し付けているのかもしれない、と注意深く観察してみてください。
犬の世界にはもともと平等はありませんが、人との暮らしの中で平等に近いものを勉強することができるのです。
なにより、リーダーがしっかりしていれば、上下争いは起きにくくなります。
飼い主というのはいつも頼れる存在でいる必要があります。
多頭飼いに向いている犬種
犬は群れ意識がありますから、基本的に多頭飼いには向いています。
しかし、使役犬としてブリーディングされてきた長い歴史の中で、狩猟につかわれるテリア系の仲間などには一部単独を好む犬種もいると言われています。
小型犬の同犬種は比較的うまくいくケースが多い組み合わせです。
男女の組み合わせや、去勢、不妊手術済みの子同士もトラブルは少ないと言えます。
そして、大型犬と小型犬の組み合わせにはまた違ったメリットも。
大型犬にとっては、サイズの小さい小型犬の扱いに慣れてきて、小競り合いの時に無茶をしにくくなりますし、小型犬にとっては大型犬からの雑な扱いにもへこたれず勇敢になるようです。
意外に思われるかもしれませんが、チワワと大型犬を飼っている姿はよく見かけられます。
チワワは勇敢で見た目よりも体力があるので、大型犬とも対等に渡り合える子が多いです。
しかし、小型犬だという事実は変わりませんので、うっかりひどい喧嘩になってしまった時は致命傷を受けてしまいます。
また、足が細く、普段から運動慣れしていない子の場合、思わぬ怪我につながることもあるので注意は必要でしょう。
近年、愛玩犬としてブリーディングされているダックスやプードル、ポメラニアンなども現状を受け入れる順応性が高いので多頭飼い向きです。
かつては気難しかったり気が強いとされてきた柴犬も、大変友好的な子が増えてきています。
性格をよく見て迎え入れてあげれば十分多頭飼いに向いているでしょう。
逆に、一般的に穏やかで賢いとされているゴールデン・レトリバーですが、自信に満ち溢れていて大変な上位気質なため、難しい部分があります。
体も大きく、飼い主さんがしっかりしていないと難しい犬種ですので、イメージに流されず自分で飼いきれるか、しっかり検討してくださいね。
多頭飼いで気を付けたいこと
ここからは、多頭飼いで気を付けたいことについて考えていきたいと思います。
一番大事なことは飼い主さんが信頼される、頼れるリーダーであることです。
それは嘗められないようにと虚勢を張ることではありません。
飼い主さんも、先住犬も新しく迎える子も幸せな生活を送るためには、一体どんな事に気を付けるべきなのでしょうか。
2匹目を迎える前に気を付けたいこと
多頭飼い、2匹目を迎える前から準備を進めておく必要があります。
まず頭に入れておきたいのが、先住犬についてしっかり知っておくこと、まずはその子の性格を見極めなくてはいけません。
他の犬に吠えかかったり、挨拶が上手に出来なかったり、極端に怖がりだったりするような場合は、新しい子を迎えることでストレスを抱える可能性があります。
だからこそ、明るく社交的な子を、と思う気持もわかりますが、ただでさえ新しい子を迎える事は先住犬にとってデリケートな問題です。
思い付きや勢いで連れて帰るのはおすすめできません。
また、飼い主さんべったりの生活をしている子にとっても2匹目は受け入れがたい事が多いもの。
時間をかけて生活を見直してから迎えるようにしましょう。
日頃のしつけも見直しが必要な場合もあります。
迎える時期・年齢
犬も年齢が上がっていくにつれ、様々な環境の変化を受け入れにくくなっていきます。
できれば先住犬がまだまだ若く順応性がある3歳までに2匹目を迎えるのがよいでしょう。
ところが、少し年を取ってきた子のいるお家に若い異性の犬がやってきたことで、先住犬に活気が戻ったというお話も聞きますから、やはり相性は大切ということですね。
そのようなレアなケースはあるものの、一般的に目も見えづらく、足腰も弱ってきている老犬のいるところに2匹目を迎えるのは、ストレスの方が大きいと言えます。
よほどの事情がない限り、控えておいた方がよいでしょう。
特に新しく子犬を迎えた場合、トイレのトレーニングやしつけにも時間を割かれるので、どうしてもある程度、飼い主さんの手がかかりっきりになることが考えられます。
それは先住犬に、放っておかれた、もう一匹ばかりを可愛がっている、という風に感じさせてしまうかもしれないのです。
やがて、新しい子へのやきもちや飼い主さんへの独占欲につながって、犬同士の関係が悪くなってしまう恐れもあります。
そのような事を踏まえて、新しい子を迎える時期も検討してください。
去勢や不妊手術
迎える犬が子犬とは限りませんね。
縁あって里親になるなど、成犬ということもあるでしょう。
先住犬が子犬の場合は様子を見ながら、成犬の方を立てつつ慣らしてあげましょう。
新しく来る子が十分しつけも終わっているようなら、子犬にとってトイレトレーニングなどに良い効果をもたらす事があります。
その反対に、順調に進んでいたしつけがふりだしに戻るパターンも。
他にも先住犬が男の子の場合、急にマーキングが激しくなることがあります。
理由は縄張り意識が強くなってしまうためで、未去勢の男の子の方に多く見受けられます。
また、新しい子を迎えるにあたって、異性同士だと喧嘩がとても少ない組み合わせではあるのですが、未去勢の男の子と不妊手術をしていない女の子の場合、「ヒート」、いわゆる発情期には余程気を付けなくてはいけません。
私たちが思うよりはるかに、発情期のエネルギーは凄まじいもので、発情期のピークの数日間は食事をとらない男の子もいるほど。
この時期、交配の予定がなければ2匹を一緒にしておくことは避けましょう。
ヒートのストレスを軽減するために、去勢や不妊手術をする、という方法もあります。
病気でもないのに臓器を摘出してしまう事に抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。
これは飼い主さんの考え方によるので何が正しいかということではありません。
ですが、ヒートのストレスやマーキングは早期の去勢によって軽減される傾向にあります。
あらかじめ、多頭飼いの予定があるときは、手術を視野に入れておくのもトラブルを避ける一つの手段です。
去勢すると、上位意識が薄れるため、順位争いの喧嘩が減るメリットもあります。
(順位が無くなる訳ではありませんので、犬の決めた順位は守ってあげて下さい)
去勢、不妊手術は基本的には不自然な事ですし、麻酔による事故も全く無いわけではありません。
飼い主さん自身、よく考えてから決めてくださいね。
手術をする際にも、あまりに幼すぎる月齢でないほうがいいでしょう。
せめて半年以上は待ってからのタイミングをおすすめします。
まとめ
もう一匹いたら楽しそう。違う犬種も飼ってみたい。お留守番がさみしそうだから。
など、多頭飼いは決して飼い主さんの気まぐれで安易に始めてよいものではありません。
相応の覚悟がないと、飼い主さんも犬たちも不幸になるかもしれないのです。
万が一、軽い気持ちで思い立ったとしても、飼った以上は必ず最後まで責任を持ってください。
当然のことながら、フードや注射、病気の時などの医療費の出費は頭数分かかってきます。
お散歩の時間も増えるかもしれませんし、犬同士の相性が悪いと腰を据えて対応に臨まなくてはいけないですよね。
とはいえ、メリットもあります。
実際、2匹(もしくはもっと?)でいるとお留守番が一人の時ほど負担でなくなることもあります。
そして犬同士の関係が良好ならばお互いに遊び学び、よい相乗効果をもたらしてくれるでしょう。
他の犬を見ただけで怖がっていた子が、お家に新しい犬が来たことで平気になる場合だってあります。
なにより、たくさんの大好きな犬たちに囲まれて過ごす日々はとても幸せなものです。
飼い主さんがしっかりした頼れるリーダーとなり、素敵な多頭飼いライフを楽しんでください!