キンカローはマンチカンとアメリカンカールを親に持つミックス猫です。
親猫の名前を混ぜ合わせてマンチカールと呼ばれることもありますが、日本のブリーダーや専門家の中では主にキンカローという呼び名が一般的です。
とはいっても、まだまだ知名度も低く、他のマイナーなミックス猫同様、飼育するというよりも珍しい猫として知られています。
今回は、そんなキンカローの歴史や性格や被毛など見た目の特徴などについて紹介していきたいと思います。
目次
キンカローの歴史
キンカローは1990年代の中盤にアメリカ人ブリーダー、テリー・ハリスによって生み出されました。
そこから間もない1994年に繁殖が開始され、その3年後の1997年には実験段階の猫種として世界的に権威があるTICA(The International Cat Association)に登録されます。
その段階では、すぐに公認となるとされていましたが、20年以上経過した今も公認には至っていません。
その理由としましては、安定した繁殖に至っていない、品種としての特性が定まっていない、巻いた耳が骨格異常に繋がる可能性があるといったことが考えられています。
小型の猫を登録しているTDCA(The Dwarf Cat Association)では、公認です。
今後、キンカローの個体数が順調に増えていけば、より多くの団体から正式な血統として認められる可能性がありますが、作出からまだ20年と少ししか経過していない、さらには安定した繁殖に至っていないため、遺伝的な面でも、まだまだ分かっていない部分が多いのが現状です。
ただ、基本的には掛け合わせたマンチカンとアメリカンカールの特徴を引き継いでおり、飼育面で苦労することは少なく、一般家庭でも飼育可能です。
マンチカンとアメリカンカールのどちらに似ている?
親猫であるマンチカンとアメリカンカールのうち、どちらの特徴を引き継いでいるのか見ていきます。
キンカローの見た目
キンカローは全体的に小さく、見た目でいうと、短足のマンチカンの特徴を強く受け継いでいます。
体重は3~5kgほどと小型の部類に入ります。
胴体はがっちりしているものの小さいため、相対的に尻尾が長く見える子も珍しくなく、個体によっては胴体以上の長さの尻尾を持つ子もいるほど。
キンカロー最大の特徴はカールしている耳であり、ここだけはアメリカンカールが親であることが容易に判断できます。
生まれた直後は他の猫と同じ耳ですが、成長するにつれてだんだんと折れていきます。
この折れた耳がアメリカンカールに近いほど、より良いとされて高値になる傾向があるのですが、ブリーダーなどから購入する子猫の段階でもカールはしているものの、将来的に耳がどこまで折れてくれるのかは分からなくなっています。
ポイント
遺伝子上はキンカローでも、突然、耳のカールが止まる個体もいます。
このあやふやさが正式に公認されない要因の一つでもあります。
キンカローの被毛と抜け毛
キンカローの被毛はアメリカンカールの豪奢な雰囲気を継承しており、全体的になめらかです。
カラーは主にグレー、ブラック、クリーム、被毛の柄はカリコ、タビー。
加えて、短毛と長毛のどちらも存在し、カラーバリエーションと模様の豊富さは他の追随を許さないほどですが、どちらかといえば短毛の個体が多く、その点ではマンチカンが親であることを感じさせてくれます。
折れた耳と短い足という大きな特徴を持つキンカローですが、被毛に関しては定まっていないのかパターンが非常に多い印象があります。
抜け毛に関しては長毛種になると比較的多く、少なくとも3日に1回、短毛種でも週に1回はブラッシングが必要になります。
使うブラシも被毛の長さに合ったものを選んであげる必要があります。
キンカローはどんな性格?
キンカローの性格はとても社交的でありながら穏やか面を持ち合わせています。
マンチカンとアメリカンカールは両方とも人慣れもしており、その血を受け継ぐキンカローも同様です。
周囲の道具で活発に遊ぶことを特に好み、マンチカンのように短い足をチョコチョコ動かして走り回ります。
好奇心に溢れており、刺激のある遊びを好みます。
初対面の人や猫にも比較的、すぐにコミュニケーションを取る傾向があり、他の猫種に比べてあまり警戒心がないので、小さなお子さんがいるご家庭にもピッタリの猫といえます。
キンカローは飼育しやすい?
穏やかな性格のキンカローは、飼育しやすい猫です。
基本的に非常に人懐っこい性格で、飼い主への距離感としては犬に近いです。
一人の時間も好む猫の中では、やや異質で甘えん坊な一面も見られたり、自分から転がっている玩具をくわえてきて、「これを投げて」とアピールする光景もあります。
社交性も抜群で、常に飼い主家族と一緒にいることを好むので、常にそばで過ごしたい方とは非常に相性が良い猫ともいえます。
逆に、あまり孤独にすると大きなストレスになるので、留守の時間が多い一人暮らしの人が飼うには、やや不向きかもしれません。
陽気な部分はマンチカン、飼い主への甘え方はアメリカンカールからの継承で、親猫の良い部分が受け継がれています。
両親とも活発でどんな相手にも適応するため、小さな子供がいる家庭でも飼育できますし、しつけもすぐに覚えてくれます。
ただし、賢さが高いゆえにドアや棚を開けることも多く、いたずらで意図せぬ場所へ出ないように要注意です。
きちんと固定したキャットタワーなどの高低差がある遊び場を用意すると、室内飼いでも十分な運動量を確保することができます。
子猫の価格
子猫の価格ですが、ネット上の販売サイトではおおよそ20万~30万というのが相場となっています。
高くても30万円程度と、珍しい猫としては安価な部類に入りますが、これは正式な品種として認められていないというのが主な理由になります。
折れた耳が成長するにあたって、どう変化するか分からないというのもありますが、それ以前に、キンカローという猫が、どのような遺伝子を持ち、どの疾患に気を付けるべきなのかが分からない等、飼育上では、まだまだ問題点が残されています。
世界的に公認品種として認められる頃にはクリアできる問題ですが、購入は少し考えた方がいい猫とも言えます。
まとめ
短足で折れた耳を持つキンカローについて紹介していきました。
親猫どちらも特徴的な見た目を持ち、その子供であるキンカローも魅力ある猫ですが、繁殖、特徴の定着という意味では、まだまだ未知の猫というのが現状です。
珍しい猫が20万円で購入できるという見方もできますが、公認品種ではないため、成長過程でどうなるのか分からない部分もあります。
2020年時点では今後に期待の猫といったところです。