連れて歩くだけで、軽やかな歩様と風になびく美しく輝く被毛に魅了される人も多いようです。
日本スピッツ自体、知名度は低いとされがちですが、日本国内では、JKC登録犬数(2016年1月~12月)は960頭で全体の29位にランクインしており、決してマイナーな犬というわけではありません。
また、海外でも人気は高く、その感情表現の豊かさや賢さから「友達であり家族以上の存在」、「自分のことを人間と思っている犬種」などと評価されています。
今回はそんな日本スピッツについてご紹介していきたいと思います。
目次
日本スピッツってどんな犬種?
日本スピッツの魅力はなんといってもフサフサとした純白の被毛です。
ふっくら感のあるこの被毛は上品さと優雅さを漂わせており、同時に、三角形の小さな耳と小さくて丸い鼻、それに黒く縁どられた目なども、日本スピッツと大きな特徴と言えます。
どことなく、風貌がポメラニアンに似ていますがどちらもスピッツ系の犬種です。
元の祖先は同じ「サモエド」という犬になりますが、日本スピッツの関しては交配の過程で「ジャーマン・スピッツ」の血が混ざり、小型化されていきました。
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元々はよく吠え、無駄吠えも多かったのですが、今現在では愛好家達の努力により改良され、無駄吠えもなく穏和な性格に改良されました。
日本スピッツの歴史
日本スピッツの起源は1920年頃にシベリア大陸を経由し、中国の東北部から日本に渡来した大型の白いジャーマン・スピッツであると言われています。
原産国は日本ですが、日本犬ではなくその血統には洋犬の血が入っており、それらの子孫によって改良繁殖が行われてきました。
第二次世界大戦後の1948年にジャパン・ケネル・クラブにより統一されたスタンダードが確立され、1950~60年代には愛玩家庭犬として、爆発的な人気を集めました。
クリッと大きく黒い瞳に、ひときわ目を引く純白の被毛を持つ日本スピッツは当時の人々を魅了し、1958年(昭和33年)には年間登録犬数がトップとなり、日本初の流行犬となりました。
しかし、爆発的なブームはからしばらくすると、日本スピッツの人気は徐々に下火になっていきます。
スピッツ以外にマルチーズやアメリカン・コッカー・スパニエルなどの洋犬種の輸入が増えてきたという時代背景もありますが、人気下降の一番の原因は、日本スピッツの甲高く吠える無駄吠えにありました。
飼育頭数も右肩下がりになり、1980年(昭和55年)頃になるとその姿はほとんどみかけなくなり、ついには幻の犬種ともいわれるようになります。
その頃の犬種図鑑では、「よく吠えるため番犬としては適しているが、やがて敬遠され数も減少していった」と記載されるようになり、いつしか「吠える犬=日本スピッツ」が定着してしまいました。
以後、長い期間中、敬遠されていましたが、熱心な愛好家によって無駄吠えしないよう温和な性格に改良され、徐々に人気は回復。
現在では日本国内のみならず、海外でも愛されるようになりました。
日本スピッツは飼育しやすい?
丈夫な体質なので特に健康に気を使う必要もなく、飼いやすい犬種といえます。
日本スピッツは屋外で飼育することも可能ですが、室内で家族の側で暮らせるようにしてあげるのが理想的です。
活発な性格でもあるため、毎日1日30分程度は散歩や運動をさせてあげるとストレスを溜め込まず、飼いやすい犬になってくれます。
現代では人懐っこく好奇心旺盛な無邪気な性格に改良されおり、特に信頼している飼い主には安心して甘えてきます。
被毛の手入れは大変そうに思われがちですが、もつれにくい為、手入れはほどほどで構いませんが、魅力の一つである美しい純白の被毛を保つために、汚れには注意し定期的にシャンプーをしてあげると良いでしょう。
しつけは簡単?
とても賢く物覚えが良いため、しつけは難しくありません。
使役犬や猟犬ではないため、本能的知能はあまり高くありませんが、学習能力、応用能力、判断能力、感情表現のバランスがよくコミュニケーションをとりながらその長所を伸ばしていくことができます。
神経質なところがあるので、叱りつけるのではなく、褒めながら日常の中でトレーニングしていくと良いでしょう。
無駄吠えは改良されているとはいえ、甘やかし過ぎは禁物です。
子犬の頃からのしつけを徹底し、無駄吠えを抑止できるようにしていくことが大切です。
日本スピッツってどんな性格?
日本スピッツは陽気な遊び好きで物覚えもよく飼い主には従順ですが、頑固な一面もあります。
感覚が鋭敏で神経質なところがあるため、他人には警戒心を見せ距離を置くことがあります。
小さい頃からいろいろな場所に連れていき、たくさんの経験をさせ、さらには社会性を育てるために他の犬とも遊ばせるようにしましょう。
昔は無駄吠えする犬として知られていましたが、今や改良されて大人しい性格の子が大半で、落ち着きが無い犬はあまり見かけません。
※なお、日本スピッツのことを、愛玩犬と番犬の両面を持ち合わせる犬と紹介されることが多いですが、上記の改良によって番犬としての性質は失われています。
※性格的資質で見ても、屋外飼育のメリットはあまりありません。
大きさ
体高:オス:30~38cm メスはそれよりもやや小さい
体重:5~11kg
体重に幅がありますが、これは個体ごとでばらつきがある証拠です。
NSC(日本スピッツクラブ)の標準書によると、「オスメスともに、0.22~0.23×体高(cm)= [単位:kg] が良好な状態であるが、肥満でない限り母胎としての使命を持つ牝は、やや重い方が良好である」とされています。
寿命
平均寿命は12歳程度。
小型犬の割には寿命はやや短めとなっています。
ですが、他犬種に比べ比較的丈夫な体の持ち主で、命に係わる疾患を発症することも少ないので、寿命じたい、全体的に安定しています。
仔犬の値段
10万~20万円ぐらいです。
日本という名称がついているせいか身近に思われがちですが、実際はメジャー犬種ではなく、ペットショップにいるような犬種ではありません。
個体差にばらつきがある犬種の為、希望するサイズ感や顔立ちなどはブリーダーから直接購入するか、ペットショップに相談して購入することが望ましいでしょう。
まとめ
日本スピッツは頭もよく表情豊かなうえ、なんといっても丈夫な体の持ち主です。
洋犬の血統も引き継ぎながらも、日本犬の特徴でもある飼い主に従順でもあり、活発で遊び好きという一面も楽しめる犬種です。
豊かな表情に癒され、接しているうちに言葉を理解するようになり表情や動作を交えて語りかけてくる仕草は愛くるしい存在となることでしょう。