雪国の犬として知られるシベリアンハスキーとアラスカンマラミュート。
日本では馴染みが薄く、知名度も低いこともあって、一緒にされてしまうことも少なくありませんが、一見、同じように見える彼らも、様々な面で違いがあります。
ということで今回は、シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートの特徴から両犬種の見分け方、違いについて紹介していきたいと思います。
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートの特徴
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートは非常によく似た犬種ですが、当然、異なる部分というのはいくつもあります。
違いについて触れる前に、まずは両犬種の特徴について知っておきましょう。
特徴を知っておくことで、相違点も理解しやすくなります。
シベリアンハスキーってどんな犬?
シベリアンハスキーは、まるでオオカミのように凛とした感じと顔立ちが特徴です。
瞳も特徴的で吸い込まれそうなブルーの瞳を持っています。
目の色はブルーだけではなく茶系の個体や左右の目の色が違うオッドアイと呼ばれる個体も中には存在します。
成犬の体重は15~25kg弱、体高は50~60cmほどで、筋肉質で引き締まっており、力が強い犬種です。
シベリアという極寒の地で生活したこともあり寒さには、とても強いのが特徴です。
外見だけを見ると怖そうなイメージがあるかもしれませんが、実際のところはフレンドリーで、その大きなギャップがシベリアンハスキーの魅力でもあります。
その人懐っこい性格は飼い主家族以外とも仲良くできますし、他の犬に対して攻撃的な部分を見せることもありません。
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アラスカンマラミュートってどんな犬?
アラスカンマラミュートは、北方原産の犬種で、こちらもオオカミのような外見をしておりシベリアンハスキーと間違われやすい犬種です。
小さめの立耳と大きいマズル、巻き尾が特徴的で目は茶色のアーモンド形でオオカミに似て鋭い目をしていますが、その表情は穏やかで優しい印象です。
一般的に成犬の体重は34~38kg、体高は58~63cmとされていますが、実際の上下の幅は広く、大きいと体重が50kg、体高も70cm近くにもなる個体もいます。
足回りが筋肉質なので実際の体高や体重より大きく見え、非常に迫力があります。
シベリアンハスキー同様、オオカミのような見た目で怖い印象を持たれがちですが、性格は穏やかで従順、それでいて人に対して愛情深く献身的に接してくれます。
そりを引くための犬種だったので、他の犬と気持ちの距離感を把握するのに長けており、多頭飼いも容易とされています。
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アラスカンクリーカイ
最近ではアラスカンマラミュートの小型化を目的として作出されたアラスカンクリーカイという犬がアメリカで人気があります。
大型犬の人気が高いアメリカ等でも、飼うのを悩ませるほど大きいアラスカンマラミュートですが、
性格などの性質はそのままに身体だけを小さくした犬をというのが目的で、1988年に作出されました。
アラスカンマラミュートを小さくした犬とされることが多いですが、作出にはシベリアンハスキーも関わっており、両方の犬種を合わせたような犬でもあります。
体高:23~45cm
体重:7~10kg
数字的に幅が広くなっていますが、厳密にいうと、トイ、ミニチュア、スタンダードの三段階に分かれており、
トイが体高23~32cm、体重4kg、一番大きなスタンダードで体高43cm、体重が10kgとなっています。
交配の歴史が浅いこともあり、サイズはそれなりに開きがあります。
どちらにせよ、小型化されて小型犬サイズになったことで、飼育のハードルが大きく下がっており、今後、日本で目にする機会も出てくるかもしれません。
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シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートの違い
※写真はシベリアンハスキー
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートの違いは以下の4つになります。
・ルーツ
・性格
・体力面
それぞれ順に見ていきましょう。
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートの外見の違い
シベリアンハスキーとアラスカマランミュートは、とても見た目がよく似ていますが、違う犬種である以上、当然、外見にはいくつかの違いがあります。
それぞれの外見の特徴を知ることで見分けることができます。
主な見た目の違いは4つになります。
・耳の位置
・目の色
・しっぽ
身体の大きさ
さきほどシベリアンハスキーとアラスカマランミュートの体重と体高をご紹介しましたが、体の大きさにある程度の違いがあります。
体高:50~60cm
体重:15~25kg
体高:58~63cm
体重:34~38kg
写真では判別しにくいですが、数字にすると体重の差は歴然としており、身体つきもアラスカンマラミュートの方が、がっしりとした印象があります。
成長過程のアラスカンマラミュートの子と成犬のシベリアンハスキーの子であれば、判別が難しいところはありますが、同じ成犬同士であれば判別は十分に可能です。
耳の位置
両犬種は耳がついている位置も微妙に違います。
シベリアンハスキーの耳は両耳の距離が近く高い位置にあるのに対し、アラスカンマラミュートは耳が離れており、低い位置にあります。
同じ立ち耳であっても、両耳の距離感が異なるというのもおもしろいところです。
目の色
ダークカラーの目の色は、両方の犬種にいますがブルーやバイカラーはシベリアンハスキーのみです。
一つの判別材料として覚えておいてもいいかと思います。
しっぽ
立ち止まっている時のしっぽの状態も違います。
シベリアンハスキーは自然と垂れた状態になっているのに対し、アラスカマランミュートはしっぽが軽く巻きあがった状態になっています。
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュート違い2 ルーツ
両者はルーツも異なります。
シベリアンハスキーは北東アジアを中心にトナカイの遊牧や狩猟を行う「チュクチ族」と荷物の運搬や狩りの補助をしていました。
一方、アラスカンマラミュートは、アラスカ北西にあるノートン、コツェブー湾周辺に住むマラミュート族の猟やソリ引きを手伝い一緒に暮らしていたという歴史を持ちます。
どちらともソリを引いていましたが、シベリアンハスキーの方は短距離で軽い荷物を運ぶのを得意としており、アラスカンマランミュートは重い荷物を長距離運ぶのに長けています。
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュート違い3 性格
外見はとてもよく似ているシベリアンハスキーとアラスカンマランミュートですが、性格という面でも若干、異なります。
アラスカマランミュートの性格は、飼い主とその家族にとても従順です。
もともと群れで生活していた気質を現代でも受け継いでおり、他の動物や他の人間と仲良く暮らすことができます。
子犬の頃からしっかりとしつけをすることで飼い主さんの指示をしっかりと聞くことができますし、とても従順です。
シベリアンハスキーも穏やかで愛情深い性格をしています。
他の人や他の犬と接することが好きで社交的な性格ですが、初めての場所や初対面の人に対して攻撃的になってしまう面もあります。
そういったシチュエーションでナーバスになっているなと感じた時は、あらかじめ注意が必要です。
ただ、それも慣らしていくことで、すぐに克服することはできます。
飼い主としては、ナーバスになっているからとめから避けるというのではなく、経験させて慣れさせるといった考え方の方がいいかもしれません。
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュート違い4 パワーとスピード
ルーツの違いというは異なる特性を生み出していますが、その最たる例がパワーとスピードです。
シベリアンハスキーは長らく軽い荷物をソリに乗せて走っていた歴史を持ち、スピードのある犬種です。
それに対して、アラスカンマランミュートは重たい荷物を遠くまで運んでいたので、パワーがあり、同時に体力も持ち合わせています。
見た目は似ていますが、このルーツの違いがパワーとスピードの違いとして出ています。
この体力面の差は散歩にも影響を及ぼしており、体力があるアラスカマランミュートの方が全体的な運動量が多くなるので、普段から散歩の時間を長めに確保してあげる必要があります。
スピードのあるシベリアンハスキーは、短い時間でも自由に走り回るような散歩が理想ですが、散歩の際、とても速く走ってしまうので、子犬の時からのしつけをしっかりとしておく必要があります。
日本ではどちらが飼育しやすい?
シベリアンハスキーもアラスカンマラミュートも寒い地方の犬なので、暑さに弱く、夏の時期には暑さ対策をしてあげなければいけません。
両方とも広い飼育スペースを必要としますが、日本の狭い居住スペースを考えると、中型犬に分類されるシベリアンハスキーの方が飼育しやすいといえます。
また、シベリアンハスキーの方が扱っているブリーダーが多いため、購入しやすいのはもちろん、飼育に際してのノウハウが揃っています。
一方で、アラスカンマランミュートに関しては日本国内では飼育頭数が少なく、飼育の事例も決して多くありません。
賢く、穏やかな犬ではありますが、しっかりとした知識を持っていないと苦労する機会が幾度と出てくる可能性があります。
まとめ
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュートは同じように見えて、外見、ルーツ、性格など違いはいくつもあります。
これまでなんとなく一緒にされることの多かった彼らですが、違いを知ることで新たな魅力に気付いたという方もいるのではないでしょうか。
雪国の犬で、なおかつ大きさもあるので、どうしても飼育難易度は上がってしまいますが、機会があれば、彼らに触れてみてください。
その魅力にすぐに気付くはずです。