ゴードンセッターをはじめとするセッター犬といえば、多くの国で古くから狩猟犬として人と密接に関わり、特にヨーロッパの国ではおなじみの犬種でもあります。
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今回はそんなゴードンセッターの歴史、性格、被毛などについて紹介したいと思います。
目次
ゴードンセッターってどんな犬?
ゴードンセッターは、イギリスのスコットランド原産のセッター犬種のひとつです。
セッター犬とは、銃を使わない狩猟の時、鳥を見つけてその場に座り込んで飼い主に知らせる鳥猟犬のことを指すのですが、その中でもゴードンセッターは王族貴族の上流階級のみ飼育可能だった由緒ある犬です。
ゴードンセッターは、このセッター犬の中でも最も大きな犬種で、体高が60~69cm、体重は25~36㎏、筋肉質でとてもがっしりとした体型をしていて、脚が長く力も強いため、足場の悪い場所でも駆け回ることができます。
上唇は少し垂れていますが、マズルは長く太く、凛とした顔立ちが印象的で、体中に豊かな飾り毛があります。
また、名馬のような艶のあるブラック&タン・カラーの被毛に覆われていて大変エレガントに見えます。
ゴードンセッターの歴史
原種は西暦1600年ごろのスコティッシュ・セッターであることが知られています。
西暦1700年代にイギリスのアレクサンダー・ゴードン侯爵4世が、岩山で悪天候の厳しい条件でも長時間の猟を継続できるように、力強く骨太な体格を作り出し、独自に改良して誕生したのがゴードンセッターです。
スコティッシュ・セッターにラフ・コリーブラッドハウンド、ワーキング・コリーなどの狩猟犬を掛け合わせ、西暦1820年にようやく完成し、ゴードン伯爵の名前がそのまま犬種の名前となりました。
スコットランドでは、唯一の銃猟犬です。
西暦1900年以降、人気の低迷により数を減らしてきましたが、高い狩猟能力と、従順な性格で賢くしつけも簡単です。
爆発的な人気はないものの、優雅な見た目は現代でも安定した人気があり、大型犬でありながら初心者でも安心して飼育することができます。
日本でもペットやショードッグとして少数ではあるが飼育されています。
なお、現代では鳥猟犬というよりもペットとして飼育されることが大半です。
ゴードンセッターに似ている犬はいる?
セッター犬といえばイングリッシュセッター、アイリッシュセッター、アイリッシュレッドアンドホワイトセッターなどが知られています。
中でもアイリッシュセッターとはよく似ていますが、最大の違いは、やはり被毛の色でしょう。
ゴードンセッターは、艶やかで黒い光沢のあるブラックアンドタン。
それに対し、アイリッシュセッターは赤毛の美しい被毛と、尾と脚の飾り毛が特徴です。
1876年からは単色の赤いコートを持つ犬だけをこのように呼び、JKC(ジャパンケネルクラブ)も、赤毛の場合のみアイリッシュセッターと認定しています。
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しかし、どちらも狩猟犬で大型、運動量が多く、好奇心旺盛。
それでいて遊んでもらうの大好きだったりと共通点は非常に多くなっています。。
※補足
両犬種は身体の大きさという部分でも違いはありますが、見分けるための材料になるかというと難しいところではあります。
あくまで、違いは被毛の色のみと考えておいた方がいいでしょう。
ゴードンセッターの性格 しつけは難しい?
ゴードンセッターの性格は社交的で賢く、忍耐強いです。
狩猟能力が高いので、興奮せず理性的で、飼い主にとても忠実です。
大型犬ですが、とても優しく、陽気でコミニケションやスキンシップを取ることが大好きです。
ですが、侵入者など、自分が警戒した相手には激しく吠えるので、番犬としては最高です。
しかし、活発で気まぐれな部分があるので、その性格を理解してしつけに向き合うことが必要かもしれません。
ですが、元来賢く、好奇心旺盛なので、しつけの飲み込みがよく、初心者の飼育にも適している犬種なので、コミニケションをとり、しつけていけば、必ず飼い主に従順で、優秀な家族としてみんなに愛される一員となるでしょう。
また、知らない人には懐かない性格なので、家族全員でしつけるよりも、誰かトレーニング係を決め、じっくり取り組むのがいいでしょう。
運動量が多いので、毎日1時間以上のお散歩やボール遊び、ドッグランなどで思いっきり走ることができるところへ連れていって、ストレスをためないのもしつけには大切なポイントです。
被毛の特徴
ゴードンセッターは被毛が特徴的な犬種です。
コートは柔らかく、直毛、または少しウエーブがかかって、密着して生えています。
耳と四肢、そして背中にも天使の羽のように生える長い飾り毛が特徴です。
光沢のある艶やかな色と飾り毛が優雅で気品ある印象を与えてくれます。
また、他のセッター種に比べると被毛が厚めになっているので、防寒性に優れています。
これは生まれ育ったスコットランドの厳しい寒さにも耐えられるように改良されているのです。
保温性に優れ、きれいな被毛ですが、これを維持するためにはお手入れが欠かせません。
ブラッシングをこまめにしつつ、3日に1度はコームでのお手入れ、2~3か月に1度はトリミングやムダ毛の処理をします。
被毛の色
ゴードンセッターの特徴で、最大の魅力でもあるのが、美しい艶のある被毛でしょう。
カラーの指定は厳しく、現在ではブラック&タン、ブラック単色が認められています。
元々は色々なカラーのゴードンセッターが存在していましたが、狩猟時に背景に溶け込みやすく、なおかつその美しさからブラックアンドタンが主に繁殖されるようになりました。
稀に、ブルー&タンの個体が生まれることがありますが、犬種規格外として血統書は発行してもらいません。
あくまで雑種扱いになってしまいますが、その希少度合いから、こういった色の子犬が誕生した時は高額で売買されることがあります。
まとめ
ゴードンセッターは高貴かつ優雅さを感じさせてくれる数少ない犬種です。
彼らならではの美しい被毛はこれまで多くの人々を魅了してきました。
美しさを保つためには日頃のケアが必須ですが、その手間さえも愛しいと感じることができるのもゴードンセッターならではかもしれません。
大型犬であるため、日本ではなじみは薄いですが、機会があった時は是非とも、その美しい被毛に触れてみてください。
そこに彼らの魅力が詰まっているといっても過言ではありません。