飼い主がしっかり食事管理をしていれば心配いりませんが、知らず知らずのうちにカロリーオーバーになり、ダイエットしなければならない肥満体型になってしまっているケースが少なくありません。
関連記事:愛犬の肥満は飼い主の責任?肥満の原因&適切なダイエット(体重管理)とは?
目次
肥満の原因は人間と同じく「食べ過ぎ」
自分の意志で太ったり痩せたりすることはなく、何をどれだけ食べるか、というのは飼い主次第。
愛犬が太ってしまうのは、飼い主が餌を与えすぎたり、食事の管理ができていない、ということになります。
犬の場合も人と同じく、肥満は多くの病気の原因になります。
「うちの子、太いんだよね」というような軽い気持ちで済ませるのではなく、愛犬の健康のために標準体重を目指してください。
若ければ若いほど新陳代謝が活発で活動量が多く、ダイエットに必要な時間や努力が少なくてすみます。
太ったかな?と思ったら、できるだけ早く対策を練ってあげてください。
犬の肥満時の体型を知る
犬の体型が適切かどうか判断する指標にボディ・コンディション・スコア(BCS)というものがあります。
※ 環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」から抜粋
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide/pdf/full.pdf
まず、愛犬の体型を横から見てください。次に真上から体型を見ます。
胴に触れた時、肋骨がわかるかどうか、ウエストのくびれ具合がポイントになります。BCS4、BCS5はダイエットが必要な状態ですね。
純血種の犬はBCSとスタンダードの体重を参考に、雑種の場合はスタンダードがないのでBCSを参考にしてください。
※純血種のスタンダードについて
一般社団法人 ジャパンケネルクラブ http://www.jkc.or.jp/
純粋犬種の犬籍の登録を行っている団体で、ドッグショー、犬の訓練競技会、アジリティ競技会などを開催する他、トリマー、ハンドラー、訓練士のライセンス発行なども行っています。
食事管理をしっかりと
ドッグフードには色々な種類があります。
・ドライタイプ(水分含量10%以下。乾燥したカリカリのもの)
・セミモイストタイプ(水分含量25~35%程度。半生タイプ)
・ウェットタイプ(水分含量75%以上。缶詰、レトルトなど)
また、食事の目的からは次のように区別できます。
・総合栄養食(中心的な食事)
・間食(スナック、おやつ)
・目的食(嗜好性を高めるおかず、サプリメント、療養食など)
食事のメインは総合栄養食と書かれているものにしましょう。ドライタイプのドッグフードの多くが当てはまります。
ウェットタイプやセミモイストタイプは犬の嗜好性が高く、柔らかいものが苦手な子犬や老齢犬向きです。
ただし、栄養のバランス偏りがあるので、これらをメインの食事にすることはお勧めできません。
特にセミモイストタイプには単糖類が多く含まれていて血糖値が上がり易いので肥満傾向にある犬には不向きとされています。
かなり曲者!おやつに要注意!
今は犬用のおやつも種類が豊富です。
可愛いパッケージや飼い主の心をくすぐるキャッチコピーに惹かれ、ついつい与えたくなりますがおやつは別腹ではありません。
おやつの分だけごはんの量を減らしてあげなければカロリーオーバーになってしまいます。
必要なカロリー量を知る
愛犬の必要カロリー量=係数×体重の0.75乗
<係数>
離乳期の犬:274 、成長中期:200 、成犬期:132
他にも計算式はありますが、この計算式で計算してみてください。目安となる一日のカロリー量がわかります。
なお、離乳期は生後約20~60日、成長期は生後約50日~10か月(大型犬の場合は生後1年くらいまで)を言います。
<体重と必要なカロリー量の例>
体重5kg・・・離乳期:916kcal、成長中期:669kcal、成犬:441kcal
体重10kg・・・離乳期:1,541 kcal、成長中期:1,125 kcal、成犬:742 kcal
体重15kg・・・離乳期:2,088kcal、成長中期:1,524kcal、成犬:1,006kcal
体重20kg・・・離乳期:2,591kcal、成長中期:1,891kcal、成犬:1,248kcal
※ 環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」から抜粋
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide/pdf/full.pdf
こうした数値、標準体重、BCSを参考に愛犬の一日のカロリー量を調整してくださいね。
人の食べ物は与えない
人の食べ物は塩分、糖分、脂肪分が多く、犬に適さないばかりか、場合によっては健康を害する危険性があります。
また、人が食べるものは臭いや甘味が強く、犬の好物になり易いので注意が必要です。
一度食べておいしいと記憶すると犬はより強くねだるようになります。
人が食べる物を横取りしても良い、と間違って覚えてしまうこともあり、問題行動に発展する場合もあるので、人の食べ物は絶対に与えないようにてください。
・チョコレート
・タマネギ、ネギ
・ブドウ、レーズン
・アボカド
・マカダミアナッツ
・ニンニク
・アワビ、サザエ
・コーヒー、紅茶(カフェイン)
・アルコール飲料
・鶏の骨、骨付きの魚
こうした食べ物は中毒を起こしたり、喉や胃腸に刺さる危険があるので食べさせてはいけません。
イカやタコといった消化に悪いもの、トウガラシやコショウ、ワサビなどの刺激物、塩分の多いソーセージやハムも避けよう、推奨されている食べ物です。
詳しくは下記を参考にしてください。
関連記事:危険!絶対にダメ!犬に食べさせてはいけないNG食品
犬のダイエットは少しずつ
ダイエットをする時は急に量を減らすというのは避けましょう。
いっきに餌の量を40%以上減らすようなことはせず、1週間で1~3%くらい体重が減る程度に留めておきます。
そうすることで、愛犬の健康を害することはなくなります。
また、食事の回数を増やして空腹を感じる時間を短くしたり、食べにくくなる器などを利用して一回の食事に掛かる時間を長くする、水をしっかり飲ませるなどの工夫もしてあげてください。
散歩で体を動かそう
食べる量を減らすのと同時に、十分な運動量も確保してあげてください。
散歩の時間を長くする、坂道を利用する、外で遊ぶ時間を長くする、といった工夫をすることで、運動量は自然と増えていきます。
その際、運動量は少しずつ増やし、ジャンプや走るといった激しい運動も避けてください。
肥満体型の犬というのは動く際に身体の弊害が多々あるので、あらかじめ背中や腰、脚、関節などの負担を減らしてあげる必要があります。
なお、中型犬、大型犬はもともと必要な運動量が多く、散歩の時間が不足するとストレスにもなりますから、最低でも1日1時間以上の散歩時間を確保してあげてください。
まとめ
肥満はダイエットという苦行を犬に強いるだけでなく、腎臓や肝臓などに負担を掛けたり、糖尿病などの病気のリスク、関節に余計な負担を掛けることによるヘルニアなどのリスクが高まる病気です。
標準体重をキープし続けるのが理想で、それが飼い主の愛情であるとも言えます。
まず、必要なカロリーを把握し、ごはんとおやつを合わせた一日の摂取量を決めてください。
そして毎日の適度な運動で健康維持に努めてください。
もし肥満体型になってしまった場合は獣医師など専門家のアドバイスを受けながら、無理のない愛犬に適したダイエットプログラムを考えてあげてくださいね。