イングリッシュマスティフはマスティフ犬の中でも最も一般的な犬種です。
マスティフといえば、がっしりとした筋骨隆々の体つきと強面の顔が特徴的ですが、元々は世界各国で独自に改良されてきた歴史があるため、その種類は多岐に渡り、それぞれ違った個性を持っています。
今回は、それらの中でもよく知られているイングリッシュマスティフについて紹介していきたいと思います。
目次
イングリッシュマスティフってどんな犬?
イングリッシュマスティフは大型で筋骨隆々なしっかりとした体型が特徴の犬種で、原産国はイギリスです。
チベタンイングリッシュマスティフという犬種を祖先とし、その歴史は紀元前1000年ごろにまで遡り、当時から体格が良く力も強いため、闘犬や番犬として重宝されていました。
犬同士はもとより、ライオンなどの猛獣と戦うこともあったのだとか。
闘犬に使われなくなって以降は、優秀な番犬として、そしてショードッグとしても人々に親しまれています。
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イングリッシュマスティフの歴史
イングリッシュマスティフの歴史は、紀元前1000年頃にフェニキア人がイギリスへと持ち込んだのが始まりとされています。
当初は闘犬として使われていましたが、比較的、大人しい性格で、闘争心の強い犬種ではなかったため、活躍の場を次第に番犬やショードッグに移していきます。
世界大戦が起こった際には雑種化が急激に加速し、一時は絶滅の危機にまで瀕した時期がありましたが、ブルマスティフなど血統の近い犬種の力を借り、純粋なマスティフの血統を復活させることができました。
ブルマスティフと似ているとされることが多いのにはこのような理由があります。
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しかし、穏やかなブルマスティフの血が入ったことで、旧来のイングリッシュマスティフよりも幾分か大人しくなっています。
マスティフとしての本来の性質という意味では賛否両論ありますが、飼育のハードルが下がっているというのは間違いないといえます。
現在では公式な犬種として公認されていますが、飼育の難しさから、各国とも飼育頭数が増えることはあまりなく、小型犬種が人気の日本では特に顕著で登録頭数は毎年数頭という範囲に納まっています。
イングリッシュマスティフってどんな性格?
闘犬として活躍していたという歴史から、攻撃的で獰猛な犬種だと勘違いしている人も多いマスティフですが、長い歴史の中で改良され続けてきたため、現代のマスティフはとても温和で物静かな性格の個体がほとんどで、イングリッシュマスティフも例外ではありません。
見た目に反してビックリするほど優しく、飼い主にも忠実です。
はしゃいだり騒いだりと感情を表現することは少ないですが、家族に危険が迫るととても勇敢に立ち向かいます。
家族に対してはとても献身的に接してくれるので、小さな子供の子守りをこなすこともできるほど。
その反面、他人に対してはとても警戒心が強く、他の犬に対しても闘争心をあらわにすることがあります。
責任感も強いので、番犬としてもうってつけの犬種で、実際に地方都市や郊外などでは番犬として多くの個体が飼われています。
しつけは難しい?
イングリッシュマスティフは穏やかで物静かな性格ではありますが、飼い主以外の人に対しては攻撃的な部分を見せることがあるので、やはりきちんとしたしつけは必要です。
何かのきっかけで攻撃行動に出てしまった場合、その巨体とパワーを飼い主がコントロールできず、事故が起きてしまう可能性も否定できません。
飼い主に対して従順であるため、時にマヒしてしまいがちですが、しつけは非常に重要な犬種であることには変わりありません。
なお、イングリッシュマスティフをしっかりとしつけるために最も重要なのは主従関係です。
マスティフは主人や家族と認めた相手には忠実ですが、それ以外には警戒心が強く言うことを聞かないこともあります。
普段は大人しいからと言ってそのままにしておかずに、日頃からきっちりと主従関係を教え込んでおきましょう。
主従関係さえ明確にしておけば、元々は賢い犬種ですのでしつけ自体はそこまで難しくはありません。
寿命
イングリッシュマスティフの寿命は平均で8~10歳。
7歳前後とも10年以上生きると言われることがありますが、どちらにせよ全犬種の中でもそんなに長い方ではありません。
大型犬ならではの胃捻転を発症しやすく、イングリッシュマスティフが気を付けるべき最も危険な病気でもあります。
大きさ
体高:メス68㎝以上、オス75㎝以上
体重:70~80kg超
イングリッシュマスティフは全犬種の中でも最大級の大型犬です。
体重のみで言えばギネス世界記録で世界一の記録を保持しているのもマスティフで、155kgを超える体重が記録されています。
体高も大きい個体では90㎝を超えることもあります。
購入はブリーダーから
マスティフはまだまだ国内では流通量の少ない犬種です。
普通のペットショップでは扱われることはなく、購入する場合はブリーダーからになります。
しかし日本ではブリーダー自体も数が大変少ないので、子犬の出産情報などはこまめに収集しておくと良いでしょう。
価格
価格の相場は25~60万円程。
血統や成績にこだわったショータイプのものは、高値になる傾向があります。
まとめ
イングリッシュマスティフは見た目に反して穏やかで、決して怖い犬ではありません。
ですが、飼育スペースや運動量、いざという時コントロールができるかどうかということを考えると、決して初心者向きではありません。
しっかりと躾をしてコントロールできる自信がある、という人向けの犬種であるといえます。