グレイハウンドの中でも古い歴史を持つイングリッシュグレイハウンド。
日本ではサイトハウンドというと、イタグレことイタリアングレイハウンドが有名ですが、世界的に見ると、このイングリッシュグレイハウンドも知られた存在でもあります。
イングリッシュグレイハウンドという犬は人の手によって交配された最初のサイトハウンドで、獲物を捕えるべく速く走るために作り出されました。
今回はそんなイングリッシュグレイハウンド誕生からの歴史と、走るスピード、被毛の特徴や気を付けたい病気について見ていきたいと思います。
目次
イングリッシュグレイハウンドの歴史
イングリッシュグレイハウンドの歴史はとても長く、誕生以来ずっと王侯貴族や国家元首、大物政治家と深いかかわりを持ち、世界中で外交上重要な贈り物として盛んに取引きされてきました。
起源に関する正確な記録は残っていませんが、中東あるいは東ヨーロッパにあるのではないかと考えられています。
イングリッシュグレイハウンドのようなタイプの犬の絵が紀元前4000年の古代エジプトの墓壁でみられ、ツタンカーメンの墓からも似た姿の犬が描かれた遺物が発見されています。
イングリッシュグレイハウンドの飼育は上流階級のみに許されていた時代があり、抜群の足の速さは主に野ウサギ狩りに用いられていました。
長年をかけてヨーロッパ中に広まり、5世紀頃にはイギリスにおいて狩猟犬として高い評価を確立、標準化された後にアメリカにも渡ることとなります。
活躍の場は野ウサギ狩りから人工のおとりを使ったトラック競技へと移り、娯楽としてのドッグレースが盛んに行われるようになりました。
現在では愛護の観点からレースを廃止する地域も増え、家庭犬として飼われるようになりました。
走るスピードはトップクラス
イングリッシュグレイハウンドは速く走るために作り出された犬種で、そのスピードはトップクラスです。
マズルは細く、足も細く長いのですが、胸部だけは極めて発達しており、大きな肺活量を誇ります。
走るためのエンジン部分ともいえる胸部以外が全て軽量に作られています。
走るスピードは時速60kmを超え、その歩幅は5.4mにもなります。
過去には時速70km以上の速さで走るスプリンターもいたほどで、スピードではチーターのみがイングリッシュグレイハウンドを上回ると言われています。
跳躍力もずば抜けており一度の跳躍で9.14mをクリアしたという記録も残されています。
イングリッシュグレイハウンドの被毛の特徴
被毛はボディに密着した滑らかな短毛です。
被毛の色は、ブラック、ホワイト、レッド、ブルー、フォーン、ファロー、ブリンドルのいずれか、これらの色にホワイトの混じったものです。
抜け毛は少ない?
グレイハウンドの被毛はボディに密着した短毛で抜け毛は多くはありませんが、多少なりとも抜けます。
時々ラバーブラシなどでマッサージしながらブラッシングをすると、無駄な毛も処理でき抜け毛が気にならなくなります。
価格
グレイハウンドは日本ではあまりみかけない犬種のため、ペットショップからの購入は難しく、ブリーダーを探すか、輸入代行で海外から購入する形になります。
価格は30万ぐらいですが、海外から輸入する際にはその他に費用がかかり50万以上する可能性もあります。
なお、過去には世界一高額な犬として、レーシングチャンピオンが過去に72000ドルで取引されたこともあるようです。
寿命
寿命は10~12年と大型犬としては標準です。
基本的に健康で長生きな犬種で、遺伝病もまれと言われています。
大型犬はゆっくり成長していきますが、成犬になると小型犬や中型犬と比べて早い段階でシニア期に入るため、定期検査はしっかり行うようにしましょう。
気を付けたい病気
胃捻転・・・胃がねじれを起こしてガスや液体がたまる病気。大型犬に多い。
股関節形成不全・・・股関節がゆるみやすくなる病気。大型犬に多い。
難聴・・・シニア犬がなりやすいほか、耳の奥深くにある内耳の神経が炎症を起こすと、難聴になりうる場合があります。
なお、病気ではありませんが、他の犬種に比べると麻酔に敏感で、尻尾の先や皮膚が傷つきやすい傾向があります。
こういった特性は医師の頭に入っているものですが、いかんせんイングリッシュグレイハウンドという犬は日本国内では非常に珍しい犬なので、手術の際には念の為、医師に伝えておいた方がいいかもしれません。
まとめ
日本では馴染みのないイングリッシュグレイハウンドは、見た目の優美さと最速のスピードを兼ねそろえた最も古いタイプの犬です。
長い歴史の中で、サイトハウンドとしての役割から家庭犬としての役割にシフトしていますが、元々持っている性質や気質は紀元前から大きく変わることなく、魅力も引き継がれています。
世界的に古い犬として人気がある要因の一つなのかもしれません。