一言でコリーと呼ばれることも多い同犬種ですが、実はいくつもの種類に分類されているのはご存じですか?
今回はそんなコリーの種類とそれぞれの特徴について見ていきたいと思います。
世界的に人気のコリー犬
日本では飼育頭数、知名度もそこそこコリー犬ですが、欧米諸国では人気犬の一つに数えられます。
犬好きで有名なイギリスのビクトリア女王がスコットランドを訪問した際に、スムースコリーを連れ帰ったのですが、その後、スムースコリーの普及とあわせて、さらに穏やかなラフコリーも知られるようになり、イギリス貴族達から愛されるようになりました。
イギリス系アメリカ人のエリック・ナイトによる単行本『名犬ラッシー』が出版されたのを原作として、映画やドラマが数多く制作されました。
コリーは名犬ラッシーの主人公として登場したことから、世界中で有名になり、アメリカではテレビドラマが放映され、富裕層からも人気を得るようになります。
日本でも決して知名度は低くありませんが、やはり大型犬の飼育頭数が多い海外諸国において、コリー犬の人気は絶大で、中でも産出国であるイギリス、アメリカ、オーストラリアといった英語圏の国での人気は他犬種の追随を許しません。
コリーの魅力とは
コリー犬の魅力は穏やかで優しく、飼い主に忠実であるというのが真っ先に挙げられます。
外見的にも豊かな被毛と優雅に歩く姿もコリーならではの特徴で、被毛は美しくなびく長いオーバーコートと、短くて密度の高いアンダーコートの二層(ダブルコート)からなります。
特に首のまわりの被毛は長く、上質なストールを巻いているかのような気品の高さを感じさせます。
下記で紹介するコリーはいずれの種類もこういったコリー犬ならではの特徴をベースとし、それぞれ独自の特徴も持ち合わせています。
一見、同じ犬種に見えても実はそれぞれで大きく異なっています。
ラフコリー
名犬ラッシーのモデルとされている犬で日本でも知名度が高く、『コリー』といった場合はこのラフコリーを指します。
脚が長くたっぷりとした長い毛を持つ大型犬で耳は垂れています。
長くて豪華な飾り毛が特徴的なラフコリーは、イングランドの北部、またはスコットランドの牧羊犬です。
優雅な見た目をしているので上流階級社会で愛玩犬として愛されていました。
牧羊犬らしく忍耐強い性格で運動量が多く活発ですが攻撃性はなく、とても優しくて愛情深い性格をしているので、家庭犬としてもバランスが良い犬種だと言えます。
原産国:イングランド、スコットランド
体重:23kg~34kg
体高:56cm~66cm
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ボーダーコリー
ボーダーコリーは原産地がイングランドとスコットランドまたはイングランドとウェールズの境地域であったことから、その名前が付きました。
牧羊犬として世界で最も使われている犬種で、毛色はブラックアンドホワイトですが、レッドやチョコレート、ブルーといった種類もいます。
ボーダーコリーは非常に高い知能を持つ犬種だと言われており、状況判断能力に優れ、牧羊犬として素晴らしい活躍を見せています。
運動能力にも優れており、アジリティやフリスビーなどのスポーツでも活躍している万能な犬種です。
他の種類と比べると身体は小さめなので、日本国内では飼育頭数が最も多くなっています。
原産国:イギリス
体重:14kg~22kg
体高:46cm~56cm
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スムースコリー
スムースコリーは首、脚、尾が長く体は引き締まっているという特徴があり、耳は垂れています。
名前の通りスムースタイプのラフコリーです。
そのため、毛の長さ以外はラフコリーとよく似ていますが、交配されている犬種が異なるため、性格や特徴にも違いがあります。
ラフコリーと同様に愛情深く優しい性格をしていますが、陽気な一面が強く遊びや運動が大好きで足が速い犬種です。
国内では非常に珍しい犬種で、目にかかることは滅多にありません。
原産国:スコットランド
体重:18kg~29kg
体高:51cm~61cm
アイリッシュコリー
このアイリッシュコリーは初期のケルト人がアイルランドに持ち込んだとても古い犬種で、イギリス及びアイルランド原産のコリー犬種や多くの牧羊犬種の先祖になったとされています。
体のサイズに比べて小さめの頭部が特徴的な犬種で、耳は丸く大きな垂れ耳、尾は牧羊犬としては珍しくふさふさした短い垂れ尾、もしくは尾が無いものもいます。
筋肉質のがっしりとした体つきをしていますが、脚が長く走るのが速いです。
性格は愛情深く従順、しつけの飲み込みや状況判断力が優れています。
原産国:アイルランド
体重:23kg~34kg
体高:56cm~66cm
ビアデッドコリー
ビアデッドコリーは古くからスコットランドで牧羊犬として活躍している犬種です。
ヒゲが生えたような特徴的な外見をしており、ビアデッドには英語で『髭を生やした』という意味があるため、ビアデッドコリーとは髭を生やしたコリーという意味になります。
他の種類とは風貌が異なりますが、このビアデッドコリーもれっきとしたコリー犬の一つ。
牧羊犬らしく判断能力に優れており、愛情深い家庭犬として知られています。
また、甘えん坊でイタズラ好きなところもあるため、体は大きいですが、まるで子犬のように動き回ると言われています。
原産国:スコットランド
体重:18kg~27kg
体高:51cm~56cm
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まとめ
このようにコリーにはいくつかの種類があります。
代表的なのはラフコリーやボーダーコリーですが、スムースコリーやビアデッドコリーなど日本ではあまり目にかかることのない犬種もいます。
共通する特徴としては、いずれも牧羊犬として活躍していたこともあって体力があり、判断能力に優れているという点です。
家族に対して愛情深く従順な性質があるので、運動量を確保してしつけを行うことができればどの犬種も優秀な家庭犬となってくれるでしょう。
また、いずれの種類も原産国はイングランド、スコットランド、アイルランドと、コリー犬自体がイギリスを代表する犬種としても知られています。