賢い
しつけがしやすい
走るのが速そう
等、様々なイメージを持つかと思いますが、実はいくつもの種類に分類されているのはご存じですか?
小型犬に人気が集まる日本では飼育頭数がそこまで多くありませんが、世界的には非常に人気の犬でもあるわけですが、今回はそんなコリー犬の種類とそれぞれの特徴について見ていきたいと思います。
一見、同じように見えても、歴史や特徴などは全く異なります。
コリー犬の歴史
コリー犬の誕生は紀元前50年頃。
ローマ軍がイギリスに上陸し、当時連れていた牧羊犬とスコットランドの犬との交配によって誕生したのが始まりとされています。
古くから人間との関りが深く、牧羊犬だけでなく、水難救助犬として活躍していたという記録が残されています。
コリーという名前は黒色や石炭の古英語、他にはゲール語の「役立つ」という言葉が由来であるという説があります。
長らくはスコットランドの地方犬の一種に過ぎませんでしたが、19世紀中ごろ、犬好きで有名なイギリスのビクトリア女王がスコットランドを訪問した際にスムースコリーを連れ帰ったことで、イギリス本国でも知られるようになります。
時期でいうと1860年代ですが、この頃には毛の長いラフコリーと毛の短いスムースコリーがいたという記録も残されています。
その後、スムースコリーはイングリッシュグレイハウンド、ラフコリーはボルゾイとの交配によって犬種としての特徴を確立させ、普及させていきます。
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当初はイギリスの上流階級達から愛される存在でしたが、そこから遅れること50年後には庶民の間でも飼育されるようになっていきました。
20世紀に入るとイギリス系アメリカ人のエリック・ナイトによる単行本『名犬ラッシー』が出版されたのを原作として、映画やドラマが数多く制作されました。
コリーは名犬ラッシーの主人公として登場したことで世界的に有名になり、アメリカではテレビドラマが放映され、一般層から富裕層、国を問わず人気を得るようになります。
やはり大型犬の飼育頭数が多い海外諸国において、コリー犬の人気は絶大で、中でも産出国であるイギリス、アメリカ、オーストラリア等の英語圏の国での人気は他犬種の追随を許しません。
ちなみに日本国内では映画やドラマ等の影響で知名度こそありますが、飼育頭数はそこまで多くありません。
要因はやはり狭い住環境、共働き世帯が増えたというのが挙げられます。(飼育に時間がかけられない)
また、ブリーダーの減少という背景も相まって、飼育頭数は減少傾向にあります。
コリーの魅力とは
コリー犬の魅力は穏やかで優しく、飼い主に忠実であるというのが真っ先に挙げられます。
冒頭でコリー犬も犬種によって特徴が異なると紹介しましたが、上記二つはどの種にも当てはまります。
ただ、成犬になってからの性格や外見に関しては若干の違いがあり、特に身体の大きさやカラーは犬種によって異なります。
被毛に関してはスムースコリーを除き、豊かな被毛と優雅に歩く姿もコリーならではの特徴で、被毛は美しくなびく長いオーバーコートと、短くて密度の高いアンダーコートの二層(ダブルコート)からなります。
特に首のまわりの被毛は長く、上質なストールを巻いているかのような気品の高さを感じさせます。
下記で紹介するコリーはいずれの種類もこういったコリー犬ならではの特徴をベースとし、それぞれ独自の特徴を持ち合わせています。
一見、同じ犬種に見えても実はそれぞれで大きく異なっています。
ラフコリー
数あるコリー犬の中でも、最も人気かつ飼育頭数が多いのがラフコリー。
名犬ラッシーのモデルとされている犬で日本でも知名度が高く、単純に『コリー』といえば、このラフコリーを指すのが一般的です。
脚が長くたっぷりとした長い毛を持ち、耳は垂れています。
長くて豪華な飾り毛が特徴的で、イングランド北部、スコットランド等の寒い地域で誕生したというのが一目で分かるほど。
優雅な見た目をしているので上流階級社会で愛玩犬として愛されていました。
牧羊犬らしく忍耐強い性格で運動量が多く活発ですが攻撃性はなく、とても優しくて愛情深い性格をしているので、家庭犬としてもバランスが良い犬種だと言えます。
子犬の価格は10~20万円と他の犬種と同程度で比較的、手に入りやすい犬種でもあります。
近年はブリーダーが減少傾向で入手しづらくなっています。
原産国:イングランド、スコットランド
体重:23kg~34kg
体高:56cm~66cm
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ボーダーコリー
ボーダーコリーは原産地がイングランドとスコットランド、イングランドとウェールズの国境地域であったことから、その名前が付きました。
他のコリー犬は上流階級に愛され、厳正なブリーディングが行われていたのに対し、ボーダーコリーはその期間も使役犬として扱われていました。
実際に愛玩犬として飼われるようになったのは近年になってからで、犬種としての統一性は他のコリーよりも劣り、各団体への登録も19世紀後半に入ってから行われました。
ボーダーコリーの最大の特徴は非常に高い知能面で、状況判断能力。
現在も牧羊犬として素晴らしい活躍を見せているのはもちろん、運動能力にも優れており、アジリティやフリスビーなどのスポーツでも活躍している万能な犬種でもあります。
牧羊犬として世界で最も使われている犬種としても知られています。
毛色はブラックアンドホワイトが一般的ですが、イギリスのケネルクラブに登録された1976年以降はレッドやチョコレート、ブルーといった種類も増えています。
毛質は長めのダブルコートで、ストレートやカールしていたりと個体差があります。
他のコリーと比べると身体は小さめで、日本国内では飼育頭数が最も多くなっています。
原産国:イギリス
体重:14kg~22kg
体高:46cm~56cm
関連記事:抜群の運動能力のボーダーコリーってどんな犬?性格、被毛、大きさは?
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スムースコリー
スムースコリーは名前の通り被毛が短いタイプのコリー犬です。
加えて首、脚、尾が長く身体全体が引き締まっていることから、他のコリー犬よりも全体のフォルムが細く、華奢な印象があります。
また、毛の長さ以外はラフコリーとよく似ているとされていますが、交配されている犬種や過程が異なるので性格面でも違いがあります。
ラフコリー同様に愛情深く優しい性格の持ち主ですが、落ち着きや人懐っこさも持ち合わせており、飼いやすさという部分ではかなり秀でています。
コリー犬の中でも特に飼いやすさとされているスムースコリーですが、これは近年になって積極的な交配が行われてきたのが要因です。
二度の世界大戦では絶滅の危機にさらされたことで、愛好家たちはその数を増やすことになったのですが、繰り返された交配によって愛玩犬としての性質が強くなったという経緯があります。
現代では最も飼いやすいコリー犬として知られるようになりましたが、飼育されているのは主にイギリス周辺の国とアメリカで、日本国内で目にする機会はめったにありません。
原産国:スコットランド
体重:18kg~29kg
体高:51cm~61cm
アイリッシュコリー
このアイリッシュコリーはケルト人がアイルランドに持ち込んで以来、人と関わり続けている古い犬種です。
イギリスやアイルランド原産のコリー犬種、多くの牧羊犬種の先祖になったとされています。
ただ、牧羊犬としての歴史が長かった事から、犬種の保存は一切行われず、当時の面影は一切残っていないとされています。
こうした理由から、主要団体からは正式な犬種としては認められておらず、一部の血統クラブで保存活動が行われているだけとなっています。
筋肉質のがっしりとした体つきをしていますが、脚が長く走るのが速いです。
牧羊犬だったこともあり、従順でしつけの飲み込みや状況判断力が優れていますが、運動量が豊富で一般家庭での飼育は難しいとされています。
原産国:アイルランド
体重:23kg~34kg
体高:56cm~66cm
ビアデッドコリー
ビアデッドコリーは16世紀初頭からスコットランドで牧羊犬として活躍してきた犬種です。
しばらくの期間、サイズと被毛の色で2つのタイプが存在し、スコットランド北部のボーダータイプ、南部のハイランドタイプに分かれていましたが、18世紀に入ると作出は安定し、現在の姿となりました。
ヒゲが生えたような特徴的な外見をしており、ビアデッドには英語で『髭を生やした』という意味があるため、ビアデッドコリーとは髭を生やしたコリーという意味になります。
他の種類とは風貌が異なりますが、このビアデッドコリーもれっきとしたコリー犬の一つ。
牧羊犬らしく判断能力に優れており、愛情深い家庭犬として知られています。
また、甘えん坊でイタズラ好きなところもあるため、体は大きいですが、まるで子犬のように動き回ると言われています。
原産国:スコットランド
体重:18kg~27kg
体高:51cm~56cm
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まとめ
今回、紹介したコリー犬は以下の5種類になります。
ラフコリー
ボーダーコリー
スムースコリー
アイリッシュコリー
ビアデッドコリー
各犬種ごとで特徴や魅力は様々ですし、それぞれの歴史や誕生の経緯が異なるのも面白いところではあります。
代表的なのはラフコリーやボーダーコリーですが、スムースコリーやビアデッドコリーなど日本ではあまり目にかかることのない犬種もいます。
いずれも牧羊犬として活躍していたこともあって、豊富な体力と判断能力に優れていて家族に対しても従順な性質も持ち合わせています。
国内では飼育頭数は多くありませんが、運動量を確保してしつけを行うことができれば優秀な家庭犬として日々の生活に寄り添ってくれるはずです。