日本原産、狆ってどんな犬?誕生からの歴史、現在の飼育頭数は?

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どことなく西洋風な面持ちなのに、じつは日本原産の犬種という「狆(チン)」。

長い歴史の中で日本人に愛されてきた狆は、一体どんな犬なのでしょうか。
今でこそ、洋犬の勢いに押され、知らない人も多い狆という犬ですが、その歴史は深く、我々日本人と濃い繋がりがありました。

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狆の特徴

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名前からは中国あたりの原産だと思われがちですが、狆はれっきとした日本原産の犬です。

鼻ぺちゃで大きな目、そして長く美しい毛並みが特徴的な小型犬で、体高・体長ともに25㎝ほど、体重も3kgほどしかありません。

名前の由来は「ちいさいいぬ」が徐々に縮まって「ちん」と変化したと言われており、現在のように諸外国産の小型犬が入ってくるまでは、犬種に関わらず小さな犬を「狆」と呼んでいた時代もあるそうです。

基本的に小型犬と言えば大型犬に比べて活発な性質を持った種が多いですが、狆は日本独自の飼育がおこなわれてきたことから、比較的温和で物静かな性格をしている個体が多いとされています。

吠えることも少なく、番犬としては適さないからか、日本原産の犬としては珍しく、古くから室内で飼育されていました。
そのため、柴犬等と比べて決して丈夫とは言えず、暑さや寒さに対して比較的、弱いというのも狆ならではの特徴でもあります。

また、高いところを好んだり自分で毛づくろいをするところから、「猫のような犬」とも言われていますが、「狆」という漢字は「猫と犬の中間」という意味で付けられたという説もあります。

関連記事:狆の飼育、しつけは難しい?性格、大きさ、被毛の特徴、子犬の価格は?

狆の歴史 誕生から江戸時代

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日本における狆の歴史はとても古く、その起源はチベタン・スパニエル系統の犬種であると言われています。

日本に渡ってきた時期については諸説あり、500年代ごろには入ってきていたという説や、日本書紀に記録されている600年代だという説も。
内容についても朝鮮から贈られたという記録や、中国や朝鮮へ渡った使者が持ち帰ったという記録が混在しており、はっきりしたことはわかっていません。

いずれにせよ600年代から900年代ごろにかけては、数多くの狆が日本へと入ってきており、その頃から貴族の間で愛玩犬として人気を博していました。
その愛らしさ・美しさから、特に上流階級で愛され続け、日本の歴史において最も贅沢に扱われてきた犬種でもあります。

今でこそ犬種が多様化していますが、当時は特定の犬種しか存在せず、狆の存在感が現在のどの犬種よりも大きかったのは言う間でもありません。

そして時代は進んで17世紀後半の江戸時代。

「生類憐みの令」を出した第五代将軍・徳川綱吉は大の犬好きで知られていますが、彼が飼っていたのが、この狆であったとされています。

当時の江戸城内では座敷犬として狆が愛玩されていたのですが、後に武士や貴族の間でも人気で、繁殖も盛んに行われました。
この頃から、徐々に庶民の間へも浸透していったとされています。

世界的な狆の知名度

完全な日本原産、独自の犬として飼育されてきた狆でしたが、日本とアメリカの歴史的な出来事によって状況は一変します。

その出来事とは1853年のペリー来航です。

この時、ペリー提督によって狆はアメリカへと持ち帰られ、そのうちの2頭はイギリスのビクトリア女王に献上されました。

江戸時代末期までは鎖国政策によって、日本の文化が諸外国に知られる機会はほとんどなかったのですが、ペリーが自国に持ち帰ったことで狆の知名度は一躍、欧米諸国に知られることになります。

当時の諸外国で飼育されていた犬とは全く異なる狆は、その見た目からジャパニーズスパニエルという名で親しまれ、1870年にはイギリスのケネルクラブで犬種として公認されることになります。
(1888年にはアメリカの血統書団体AKCでも公認となります)
※1977年にジャパニーズチンという名称に変更

鎖国政策の終わりと共に世界に知られることになった狆ですが、そこから僅か17年で権威あるイギリスのケネルクラブで認められたということは、狆が魅力ある犬として認識された何よりもの証拠でもあります。

江戸時代以降、日本での人気は低下

世界的に知名度が増し、飼育される機会が増えた狆ですが、逆に日本では、開国によって輸入された洋犬に人気を奪われ、人気は徐々に下火となっていきます。

その後は関東大震災や第二次世界大戦などの影響により、国内の狆はほぼ絶滅状態にまで陥ったのですが、幸いにもイギリスやフランスといった海外からの逆輸入により絶滅は免れることができたのですが、それでも日本での飼育頭数はほとんど増えず、現在においても洋犬の人気に押され続け、とてもマイナーな犬種となってしまっています。

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狆の飼育頭数

血統書を発行しているジャパンケネルクラブの公表する情報によると、近年の狆の登録頭数は2015年は642頭、2016年は583頭、2017年は506頭となっています。

一定数の飼育頭数がいるように思えますが、割合、パーセンテージで言えば、全犬種のわずか0.1%ほどしかありません。

とは言え、実は近頃ブームの秋田犬よりも飼育頭数は上。

ランキング(全130種以上)では常に30位台~40位辺りをキープしており、人気は下火傾向ではありますが、一部の根強いファンがいる犬種とも言えるでしょう。

狆は日本犬の中でも特別な存在

日本として最も知られているのが柴犬、その次が秋田犬でしょうか。
他にも四国犬などもいますが、彼らは性格的に共通している部分があります。

・飼い主にのみ忠実
・他人には愛想をふりまかない
・クールな佇まい
・威厳

関連記事:日本犬は6種類!性格、寿命、しつけ方法に違いはある?

ですが、この狆は上記に関しては一切当てはまりません。

性格も人懐っこく甘えん坊、距離を取るようなことは基本的にしないですし、吠えることも多くありません。
もちろん、しつけはしなければいけないですが、柴犬のように神経を使うことも少ないので、初めて犬を飼うご家庭でも問題なく飼うことができます。

まとめ

古くから日本で愛玩犬として親しまれてきた狆。

一見、西洋風な見た目であるせいか、勘違いされがちですが、彼らも立派な日本原産の犬です。

長らく、洋犬の人気に押されていますが、穏やかな甘えん坊で、しつけもしやすいため、飼育に苦労することもそこまでありません。

穏やかな小型犬を探している方は狆を選択肢に入れてみても良いかもしれませんね。

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