ブサカワ犬といえば他にも多くの犬の名前が挙がるかと思いますが、中でもブルドッグの存在感は他の追随を許しません。
独特の風貌、インパクトのある顔は一度、見たら忘れることはないでしょう。
ということで今回はブルドッグの歴史、似ている犬、性格や国内の飼育頭数について見ていきたいと思います。
目次
ブルドッグってどんな犬?
日本国内でブルドッグと言えば、一般的にはイングリッシュブルドッグを指すのですが、大きな頭としわしわの皮膚、そして頬や顎が垂れています。
鼻は潰れたような低くく、目は大きくクリクリしています。
耳は小さく、内側に折りたたまれていて、バラの花びらに似ていることから、「ローズイヤー」と呼ばれています。
ですが、よく見ると、とても愛嬌のある顔をしていて、愛好家の間で人気のある犬種です。
体高は35cm前後で、体重は23~25kgと中型犬に分類されます。
毛は短く、シングルコート。
脚は太く短く、頭が大きいので、歩くときは左右に体を揺らしながらヨチヨチ歩くのですが、これも愛犬家の間で人気の秘密です。
ブルドッグ誕生からの歴史
18世紀ごろの英国では雄牛(ブル)と犬を戦わせる「ブル・ベティング(牛いじめ)」という見世物が人気で、牛に対抗できる犬として開発された犬種の一つです。
当時は、現在よりはるかに大きい60kg近くもある、オールド・イングリッシュ・ブルドッグが活躍していました。
しかし、1835年に動物愛護の観点から「ブル・ベティング」は禁止になるのですが、闘犬用に誕生したブルドッグはとても攻撃的でペットとして飼える犬ではなく、人気も衰退していくことになります。
以後、穏やかな性格の犬種との交配により、ブルドッグとして生まれ変わると同時にオールド・イングリッシュ・ブルドッグは消滅してしまいました。
なお、ブルドッグの最大の特徴である顔ですが、「しわしわの顔は皮膚が伸びることでケガをしにくいように、低い鼻は牛にかみつきながら呼吸ができるため、とされてきましたが、
当時の絵に出てくるブルドッグは、少し筋肉質で体格も少し強そうな普通の犬で、今の姿になったのは1800年代後半になってからのこと。
流行っていたドッグショーに出場させる目的で、さらに品種改良が行われ、現在の容姿へと変貌をとげました。
イギリスでは現在でもブルドッグの人気は非常に高く、国犬とされるほどの存在感を示しています。
ブルドッグに似ている犬はいる?
ブルドッグに似ている犬はいくつかあります。
・ブルテリア
・アメリカンブルドッグ
・パグ
フレンチブルドッグ
フレンチブルドッグは19世紀にフランスに渡ったイングリッシュブルドッグが、パグやテリアと交配されてできた犬種です。
顔は、垂れた口元や潰れたような低い鼻はブルドッグとよく似ていますが、体重は10kg前後と小柄です。
ブルドッグは「ローズイヤー」と呼ばれる耳が特徴ですが、それに対し、フレンチブルドッグは大きな「バットイヤー」と呼ばれるコウモリのような耳が特徴です。
近年は犬種全体の中でも人気上位で、安定して飼われている犬でもあります。
日本には大正時代に紹介され、昭和初期には人気となり数多く飼育されていました。
最近の犬という印象が強いですが、古くからペットとして飼われている犬種の一つでもあります。
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ブルテリア
ブルテリアはホワイト・イングリッシュ・テリアとスタッフォードシャー・ブル・テリア、そしてオールド・イングリッシュ・ブルドッグを交配させてできたイギリス原産の犬種です。
原種はブル・アンド・テリアと呼ばれていましたが、それを縮めてブルテリアと呼ばれるようになりました。
のっぺりとした顔や見た目は、ブルドッグとはあまり似ていません。
見た目から「バカ犬」と誤解されることが多いですが、ブルドッグの持つ闘争性とテリアの敏捷性を併せ持った優秀な犬種です。
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アメリカンブルドッグ
アメリカンブルドッグはオールド・イングリッシュ・ブルドッグをアメリカ人が改良した犬種です。
前述のとおり、もともとは闘犬だったブルドッグ。
イギリスでは足が短く、優しい温和な性格へと改良されましたが、逆にアメリカでは長い脚と凶暴な性格に改良されました。
現在では、農家でクマやイノシシを撃退するために飼う過程で、かなり温和な性格に改良されています。
口元や耳はブルドッグに似ていますが、筋肉質でガッチリし、足が長く、平均体重が27~58kgと大型犬に属する等、体型は大きく異なります。
温厚なブルドッグと比べると、オールド・イングリッシュ・ブルドッグの名残が色濃く残っています。
パグ
見た目はブルドッグにそっくりなパグですが、遺伝子上は全く関係ありません。
ブルドッグはイギリスの原産であるのに対し、パグは中国が原産国で、アジア圏では古くから存在する犬種です。
このパグに関しては祖先はマスティフと考えられています。
体重は6~8kgと小さい小型犬ですが、骨格はしっかりとしています。
垂れた耳とブルドッグと同じように顔のしわと低く潰れたような鼻、垂れた口元が特徴です。
小ぶりで、愛らしい顔立ちで人気の犬種です。
関連記事:愛嬌たっぷりのパグは陽気で頑固な性格の持ち主~飼育時は暑さと寒さに要注意!
ブルドッグの性格
ブルドッグといえば古くは凶暴で攻撃的な性格でしたが、改良の過程で、強面の見た目とは裏腹にとても温厚で穏やかな性格をしています。
おとなしく、甘えん坊で無駄吠えもないので、ペットには最適で、子供さんやお年寄りがいるご家庭や多頭飼いでも仲良く生活することができます。
元来の性格上、いざという時は勇猛に戦ってくれ、主人にも忠実なので番犬にも向いています。
賢い犬なので主人の指示によく従いますが、頑固な一面もあり、納得しないと言うことを聞かないマイペースな一面もあります。
忍耐強く、根気よくしつけをする必要があります。
日本国内の過去5年間の飼育頭数
ブルドッグの日本国内の飼育頭数ですが、この5年間で右肩下がりで減り続けています。
2014年:2189
2015年:1022
2016年:975
2017年:926
2018年:772
1900年代は洋犬ブームをきっかけに、飼育頭数も一気に増加しましたが、ブルドッグの飼育には皮膚トラブルのケアが必要だったり、散歩やお世話に時間が必要だったりと様々な課題が明るみに出たこともあって、その後の飼育頭数は減少し続けています。
その上、平均寿命が10年以下と短いのに加え、伝染病にかかりやすいとされていたり、小さな鼻腔のため、暑さに弱く高体温になりやすい、アレルギーや呼吸器疾患等、深刻な健康問題を抱えています。
このあたりも人気低下の要因とされています。
ちなみに、体質的に弱さは、過去に集中的に近親交配を繰り返したことで遺伝子ベースが作られた結果だと言われており、現在でも交配や出産の難しさから飼育頭数は激減し、希少な犬種の一つになりつつあります。
まとめ
抜群の知名度、一度見ると忘れることのないブルドッグですが、近年は頭数が減りつつあります。
賢く穏やかで、愛嬌のある姿は愛好家も多く、この先、人気が出てきてもおかしくはないところですが、似た犬であるパグの人気に押されたり、短命で体質的に弱いという一因もあり、飼育頭数が増えていないというのが現状です。
犬種として特徴的で、魅力もたっぷりな犬ですが、日本国内においては希少犬となる可能性もあるかもしれません。