ブルマスティフほど見た目とギャップがある犬も珍しいのではないでしょうか。
その見た目から怖そうな犬と思われがちですし、実際に公園などにいたら腰が引けてしまうかもしれませんが、実際のところは決して怖い犬ではありません。
事実、穏やかで社会性もあり、大型犬の人気が決して高くない日本においても徐々に飼育される機会が増えつつあります。
今回はそんなブルマスティフの本当の姿について見ていきましょう。
ブルマスティフってどんな犬?
ブルマスティフはイギリス原産の犬種で、その名の通りブルドッグとマスティフを交配させて誕生しました。
体高61~68cm、体重45~69kgという体格を持つ大型犬で、筋肉質でがっしりとした体つきをしており、太くまっすぐ伸びた脚は力強く走るのに適しています。
顔は垂れ耳、垂れ目で眉間にシワがあり、頬の皮膚はたるんでいてヘの字口。
垂れた皮膚は外敵から噛まれたり、突かれたりした時の防御の役割を果たします。
また、純血統のブルマスティフは、見た目も性格も「ブルドッグ4割、マスティフ6割」が理想だと言われています。
マスティフの強さ、優れた嗅覚、強い警戒心と、ブルドッグの攻撃力と勇敢さがうまく合わさり、より優秀なガードドッグとして利用されてきました。
顎の力がとても強く、一度噛み付いたものは放しません。
現在でも番犬として飼育する人も多いですが、ショードッグやペットとしても人気の高い犬種です。
ブルマスティフの歴史
ブルマスティフのルーツの一つであるイングリッシュマスティフは、恵まれた体格と強さを生かしてガードドッグとして活躍していました。
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しかし、マスティフは勇敢で警戒心は強いものの、闘争心と俊敏さが足りないということから、その欠点を補うためにオールドイングリッシュブルドッグと交配されたのです。
結果は大成功で、強さ、勇敢さ、警戒心の強さ、攻撃性、俊敏さを兼ね備えた、優秀なガードドッグとして誕生したのがブルマスティフです。
当初は正式な犬種ではなく単なる交雑種として扱われる時代が長らく続き、イギリスのケンネルクラブで純血種として公認されたのは1924年のこと。
現在ではレッドやフォーンなど明るい色も一般的ですが、かつては夜間、農場や狩猟場のガードドッグとして働くことを目的とされていたため、カラーはブラック系がほとんどでした。
第二次世界大戦中には多くの犬種が血統の存続を危ぶまれる中、ブルマスティフは軍用犬として採用されていたため、難なく血統を残すことができています。
その後もガードドッグとしてはもとより、ショードッグとしてや愛玩犬としても広く世界に浸透していったのです。
ブルマスティフの飼育は難しい?
ブルマスティフの飼育は、全体的な難易度で言うと高めです。
大型犬は飼育するだけでランニングコストがかかりますし、飼育環境を整えたり、いざという時にコントロールできるかという点も考えなくてはなりません。
ただし、ある程度、犬の飼育に慣れていて(知識があって)、しっかりとしつけを行えるのであれば問題ありません。
警戒心の強さから見知らぬ人に攻撃性を見せてしまうこともありますが、近年ではブリーダーの努力もあり攻撃性や凶暴性はとても少なくなっています。
むしろ、子犬の頃からのしつけ次第ではとても温厚で穏やかな性格となります。
これはブルマスティフ全体に言えることですが、自分よりも下だと思った人に対しては言うことを聞かないどころか、時に攻撃的になることもあるので、家族内では上下関係をしっかりと覚えさせてください。
頑固な一面があり、しつけには根気が必要なので、大型犬のしつけに慣れない人は専門家の力を借りるようにしましょう。
身近に専門家がいない場合は飼育は潔く諦めた方がいいかもしれません。
日本での飼育頭数
日本国内では、2000年から2006年頃にかけて年間登録頭数が30~50頭以上と飼育頭数が一気に増えています。
しかし近年ではそこまで増えず、年間登録頭数は10頭未満。
小型犬の需要が高くペットショップで見かけることもほとんど無いため、ブルマスティフの一般的な知名度は低めとなっています。
2018年の年間登録頭数は、マスティフ犬種の中ではボルドーマスティフが30頭と飛躍的な人気を見せている中、それ以外のマスティフ犬種はナポリタンマスティフ11頭、マスティフ(イングリッシュマスティフ)7頭、ブルマスティフ6頭という結果に。
爆発的な人気こそありませんが、マスティフ犬種の中では定番の犬種であり、根強い人気を保っています。
関連記事:代表的なマスティフ8種類~それぞれの特徴と魅力、違いとは?
ブルマスティフの性格
ブルマスティフの性格は、落ち着いていて冷静沈着。
判断力に優れており忍耐力もあるので、多少のことでは動じません。
飼い主には強い愛情や忠誠心を示し、飼い主を守ろうとする防衛本能がとても強いのが特徴で、
テリトリーに侵入した不審者や、飼い主に害があると判断した相手に対しては、どんなに危険でも立ち向かっていく勇敢さを持っています。
このあたりはガードドッグとして活躍してきた名残でもあり、現在も色濃く残っています。
こういった警戒心の強さから、攻撃的で凶暴な性格に見えてしまうこともありますが、しつけがきちんと出来ていればとても穏やかで、見た目とののギャップに驚く人も多いでしょう。
また、家族に対してはとても友好的で甘えん坊。その見た目からは想像するのが難しいかもしれませんが、このギャップもブルマスティフの魅力ともいえるでしょう。
子どもがいる家での飼育も問題ありません。
子犬の価格
ブルマスティフの子犬の価格相場は25万円~35万円ほど。
日本のペットショップでは小型犬がメインで販売されていることもあり、ブルマスティフを見かけることはほぼないでしょう。
ブルマスティフを購入するには、直接ブリーダーを探して購入するか、ペットショップ経由でブリーダーから仕入れてもらわなくてはなりません。
ただし、日本国内のブルマスティフのブリーダーはごく少数なので、海外からの輸入となると、値段も輸送費等が上乗せされた価格になります。
まとめ
怖そうな犬というのは、見た目のとおり攻撃性が高かったり性格的に難しい部分があることが多いですが、ブルマスティフは外見とのギャップに驚かれることの多い犬でもあります。
とはいえ、しつけを疎かにしていいわけではありませんし、飼育には細心の注意を払う必要があります。
海外、日本で飼われている多くのブルマスティフは穏やかとされていますが、それもブリーダーや飼い主によるしつけがしっかりと行き届いているからこそという見方もできます。
ですが、しっかりとした知識を持っていれば問題なく飼育できる犬というのは間違いありません。
販路が見つかりにくい、飼育スペースの確保、金銭面であったりと、購入に至るまでにクリアしなければならない点はいくつもありますが、晴れて飼育できた時は見た目とのギャップに驚くと共に、大きなパートナーとなって寄り添ってくれることは間違いないでしょう。