ブリュッセルグリフォンはベルギー原産の犬種で、ベルギー在来の犬とアーフェンピンシャー等が祖先犬とされています。
その歴史は古く、15世紀にはその存在が絵画等で記されています。
日本では馴染みが薄いですが、時に人間のような表情にも見える容姿が最大の特徴で、他の犬種では見られないブリュッセルグリフォンならではの魅力でもあります。
こちらではブリュッセルグリフォンの特徴や現在の姿に至るまでの過程について紹介していきたいと思います。
目次
ブリュッセルグリフォンってどんな犬?
歴史こそ古いものの、19世紀後半まではマズルが長く、現在のブリュッセルグリフォンとは容姿が大きく異なるものでした。
上流階級に人気で、中でも1870年代にベルギー王妃のマリー=アンリエットが飼っていた犬としても知られています。
これ以降、パグ、ヨークシャーテリアとの交配によって現在の形が出来上がりました。
元々はネズミを捕獲するのに長け、ベルギー国内では非常に重宝されていましたが、イギリスのトイ・スパニエルの血が入った頃から、その気質は失われたという経緯も。
現在のマズルが短いのはパグとの交配によるもの。
このように、様々な犬種と混ざり合ったため、時に「ユーロ犬」と評されることもあります。
後に紹介している通り、この半ば強引とも取れる交配によって、様々な弊害を招くことに繋がります。
ブリュッセルグリフォンの性格
ブリュッセルグリフォンの性格は元気で大胆ですが、時にテリア種らしく頑固な一面も見られます。
遊ぶのが大好きで常に何かをしているような錯覚に陥るほど、元気で落ち着きのない子が多いというのもブリュッセルグリフォンならではといえます。
飼う上で一つ注意したいのが吠え癖を持った子が多いということ。
さらに、極端にやんちゃな子もおり、しつけが行き届いていないと常に問題行動を起こす子もいます。
お互いの信頼関係の元、正しいしつけが重要になってきます。
寿命
寿命は10~14年ほど。
通常、身体が小さい犬種ほど長生きするとされており、明らかな小型犬のブリュッセルグリフォンも長生きの部類に入るものと思いがちですが、寿命はごく標準となっています。
あくまで14年までという書き方をしていますが、大半の個体が12年未満。
これは無理な交配によって身体が弱くなったというのも一つの要因とされていますが、それ以外にも、マズルが短い犬にみられる呼吸器系の疾患にかかりやすいというのも理由の一つに挙げられます。
身体の大きさ
体高:18〜20cm
体重:3〜5kg
大半の個体がチワワと同等の大きさで、小型犬に分類されます。
被毛のタイプ
被毛はラフタイプと、スムースタイプによって完全に異なります。
ラフタイプは硬い針金のような被毛を持ち、特に顔や頭部の毛が長くなっています。
写真や資料で見るブリュッセルグリフォンの大半はこちらのタイプになります。
スムースタイプは短く、つやがあり、手入れも楽で飼いやすいとされています。
こまめなブラッシングは必須
被毛が長くて粗いラフタイプについては週に2~3回のブラッシングと2~3ヶ月に一回のプラッキングが必要になるため、飼うという面では少々、大変な部分もあります。
口周りの被毛のケアはブリュッセルグリフォンならではで、他の部分よりも慎重かつ丁寧に行う必要があります。
子犬の価格
ブリュッセルグリフォンの子犬の価格相場はおおよそ20~35万ほど。
後述の通り、出産自体が難しく子犬の段階での生命力も乏しいため、どうしても価格は高額になります。
基本的にブリーダーからの購入になるのですが、交配の難しさ故、ブリーダーの数はそこまで多くありませんが、毎年、数百頭がジャパンケネルクラブに登録されており、一定数の流通があります。
困難なブリーディング
1920年代には5000頭以上もの繁殖犬がいたとされるブリュッセルグリフォンですが、20世紀も後半になると、その数をどんどん減らしていきます。
その大きな要因は短い期間で改良を何度も重ねたことでブリーディングそのものが困難になってしまったから。
繁殖には非常に高度な知識が必要になるということもあって、今後、流通が増える可能性もあまりありません。
繁殖能力の弱さ
ブリーディングが難しい最大の原因はブリュッセルグリフォンの繁殖能力の弱さというのが挙げられます。
妊娠しにくく、なおかつ一回の出産で生まれる頭数は1頭、多くても2頭。
さらに親犬の大きさに対して、生まれてくる子犬が異様に大きいため、帝王切開が必要になることもが多く、出産には大きなリスクを伴います。
無事に生まれたとしても虚弱体質であったり、生後数週間の死亡率が約60%と非常に高いというのもブリュッセルグリフォンならではの悲しい部分でもあります。
今でこそ、デリケートな犬種とされるブリュッセルグリフォンですが、以前までは繁殖能力は決して弱くなく、一回の出産で5頭以上の子犬が生まれてくるのが一般的でした。
このような事になってしまったのには、はっきりとした理由があります。
品種改良による個体劣等
ブリュッセルグリフォンは数百年以上の歴史があるのですが、現在とは姿かたちは違うものでした。
以前までは犬らしくマズルがしっかりとし、身体も現在よりも一回りほど大きかったのですが、パグやヨークシャー・テリア、トイ・スパニエルと半ば無理やり交配させたことで、大きく姿を変えてしまい、生命力が弱くなったとされています。
18世紀後半から始まった他犬種との交配によって、飼う側の人間にとっては良かったのかもしれませんが、犬にとっては決して喜ばしいことではありませんでした。
まとめ
日本では馴染みが薄いどころか知られている存在でもあるブリュッセルグリフォンですが、その魅力は様々。
小型犬ですし、飼育が難しいといったこともないので、もしも触れる機会があれば飼育を検討してみてはいかがでしょうか。
ブリュッセルグリフォンにしかない独特な外見できっと癒されるはずです。