優雅でスタイリッシュな容姿から高貴な雰囲気を感じるボルゾイとはどのような犬種なのでしょうか。
犬というには違和感さえ感じるほどのボルゾイは、この犬種にしかない魅力が沢山あります。
今回はボルゾイの魅力や特徴、飼育方法について見ていきましょう。
↓ボルゾイは何位?
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目次
ボルゾイの歴史
ロシア王朝全盛時の貴族たちが狩りに向かう時は、必ず足の速いボルゾイを連れていきました。
ロシアの貴族はこの誇り高いボルゾイをこよなく愛し、自分たちの地位の象徴として誇示していました。
やがてロシア王朝の衰退とともにボルゾイも殺戮の対象となり、絶滅の危機に陥りましたが、ロシア皇帝が他国の王にボルゾイを贈り物として渡していたため、絶滅は免れました。
現存するボルゾイはその生き残りの子孫。
現在では狩猟に用いるというよりも、家庭での飼育犬として世界各国で愛される存在となっています。
なお、その美しい姿は狩りを行うための脚の速さを重視した繁殖によるもので、中世以前においては見た目を重視した繁殖が行われたという記録は残っていないとされています。
飼育は難しい?
ボルゾイは超大型犬なのでなかなか飼育が難しいと感じるかもしれまんが、一度心を開いてくれたら最後まで心からの信頼を寄せてくれます。
ただ、気まぐれでマイペースな性格でもあるので、常に存在感をアピールし続け、ベタ慣れするような事はないので、あまりベタベタとした関係を望まない人にはピッタリな犬種です。
一般的な犬よりも、むしろ猫の様な、
「居るだけで存在感を示してくれ、お互いが快適な関係でいてくれる」
ボルゾイとはそんな犬種です。
飼育で気を付けたいこと
ボルゾイは超大型犬ですが、容姿の通り非常に食の細い犬種です。
成犬の一日分の給餌量を2~3回に分けて与えるのですが、フードも出来るだけ消化の良いナチュラルフードにするとよいでしょう。
また、大型犬がかかりやすい病気の一つに胃が捻じれてしまう胃捻転というものがありますが、ボルゾイも例外ではありません。
食事や水の飲み過ぎ、早食い、食後の急な運動などで引き起こします。
ボルゾイは食に関しては非常にデリケートなので、与える餌はもちろん、食事中、与えた後もよく観察してあげてください。
食後にお散歩に行く場合などは少し休む時間を取るようにした方が良いでしょう。
健康な成犬は大きな問題にならないことも、幼犬、老犬になってくると、より注意が必要になってきます。
また、ボルゾイはたれ耳で通気性が悪くなっているので外耳炎にも気を付けなければいけません。
外耳炎は耳の外耳道(穴から鼓膜まで)の炎症で、耳あかがたまったり、細菌や寄生虫が繁殖したりすることで引き起こされます。
耳に異物が入ってしまうことが原因の場合もあります。
湿度の高い時期は特に気を付けるようにしましょう。
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十分な散歩時間の確保
普段はお部屋のソファーなどでゆったり大人しくしているので、マンションなどの室内でも飼育する事は十分に可能ですが、定期的にドッグランなど、広い場所で十分運動させるとよいでしょう。
大型犬によく見られる股関節のトラブルなどもその骨構成上、とても少ないですし、走るのが得意な犬種です。
ドッグラン等では他の犬と遊ぶよりも一人で走って楽しむ事が多く見られます。
性格
ボルゾイは昔は猟犬だったこともあり、性格にはある程度獰猛なところがあるとされていましたが、現在のボルゾイは愛玩犬として家庭で飼育されていることがほとんどで、基本やさしく温厚で大人しい性格をしています。
また、時にひょうきんな面も見せてくれ、静かで気品のある仕草と併せて一つの魅力として知られています。
繊細な部分も持っており、優しく接してあげないとナーバスになり落ち込んでしまったり、あまり構ってあげない、飼い主さんの興味が他に移ってしまったりすると拗ねてしまうことがありますので、しっかりと構ってあげれているかを把握しておくようにしましょう。
また、どの犬種にもいえることですが、育て方次第では荒々しく凶暴といえる性格になってしまうので、十分気を付けなければいけません。
しつけ方法
ボルゾイはしつけが入りにくい、飼い主の言う事を聞かない、といわれる事があります。
ですが、視覚ハウンドであったボルゾイは自分で考え、行動する事ができる賢い犬です。
子犬の時期から自立心があり、必要と感じなければコマンドに従わない事もあります。
一般的な犬よりも規律を守ろうとするタイプなので、例え飼い主さんであっても間違った事をしていると思えば反発します。
とはいえ超大型犬なのである程度制御できるように基本コマンドはしっかり覚えさせるようにしたいものです。
マイペースな犬なので根気よく気長にトレーニングしていきましょう。
飼い主になつく?
帰宅した時にちぎれんばかりに尻尾を振って熱烈にお迎えしてくれるゴールデンやラブラドールに比べると物足りないと感じるかもしれませんが、ボルゾイは飼い主に対して友好的で忠実。
時に静かに飼い主に寄り添ってくれるような、日々をそっと過ごしてくれるパートナーのような存在になってくれます。
子犬の時でこそテンションの高く子犬らしい仕草も見られますが、成長するにつれマイペースでゆったりまったりしている事が多くなるので懐きにくいと感じてしまう方もいるかもしれません。
全犬種中、最速のスピード
ロシア語で俊敏という意味であるボルゾイという名を貰った通り、走る速さは全犬種の中でもトップクラス。
そのスピードは時速50kmを超え、人間以上の速さを誇ります。
本来、リードを離して走って行ってしまっても、大人が追いかければ追いつくことが多いですが、このボルゾイに関しては人間では到底、追いつくことの出来ない速さで走るので、散歩中も注意が必要になります。
リードをしっかりと握る、仮にリードを離す場合も、指示を出せばすぐに戻ってくるようなしつけをしたり、周りが安全であるかといった確認をあらかじめしておいてください。
また、静かに歩いていても動く物体を見ると、急に走り出したりすることもあります。
これはしつけが出来ている個体であっても、中々、矯正できないないので、ボルゾイを飼育する上で難しいとされるポイントの一つとされています。
大きさ
体高
オス:75~85cm
メス:68~78cm
体重:35~48kg
超大型犬のアイリッシュ・ウルフハウンド、グレートデンの次に体高のある犬種です。
関連記事:超大型犬、アイリッシュウルフハウンドってどんな犬種?歴史、性格、大きさは?
後足で立ち上がった時には、人間と同じくらいあるにも関わらず、体重は同じ超大型犬のセントバーナードの半分程度しかなく、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーよりも少し重い程度、大型犬に分類されます。
ボルゾイがいかに細みであるかというのが見てとれます。
関連記事:ラブラドールレトリバーはどんな性格?しつけや飼う際の注意点
寿命
寿命は7~10年と大型犬としては平均的な寿命となっています。
命に係わる疾患というのは少ないですが、ボルゾイは全体的に繊細な性格の子が多く、環境によってはストレスを溜めやすいところがあります。
また、ロシア原産の犬種ということで、寒さには強いですが、暑さには非常に弱い部分があります。
気温に関しても敏感なところがあるので、長生きしてもらうためには、こういった部分も常に注意してあげる必要があります。
気を付けたい病気
ボルゾイが気を付けたい病気は胃捻転、骨肉腫、外耳炎などがあります。
胃捻転
特に注意したいのが胃捻転。
胃の一部分が何らかの原因で捻じれたり拡張してしまい、周囲の血管などが圧迫されて様々な症状を引き起こすというもので、放置しておくと確実に命を落とす恐ろしい病気でもあります。
胃捻転は主に大型犬が発症するのですが、ボルゾイの場合、他の大型犬よりも発症率は高めになっているので、特に注意してあげる必要があります。
予防と対策
胃捻転は飼い主が対策してあげることで、ある程度は防ぐことができます。
まず、ご飯の前と後は激しい運動は控えてください。
次に体高があるボルゾイはご飯を床に置いた場合、かなり屈んだ状態で食べることになるのですが、この体勢は身体に大きな負担がかかった状態になっています。
これを解消するために、ご飯の器は椅子などを使って、少し高い位置に置いてあげるようにしてください。
また、一度のご飯を2皿に分けて与え、同時に水も小出しで出すようにします。
一つめの皿がなくなった後、1~2分程度のインターバルを空けてから与えることで胃への負担は軽くなります。
犬というのは目の前にご飯があればある分だけ、特に何も考えずに食べてしまいます。
少しずつ食べざるをえない状況にすることで、食べるスピードを抑えることができます。
骨肉腫
骨肉腫とは、骨の組織がガン化した状態のこと。
骨に発生した腫瘍の80%以上が悪性のガンであるとされ、やはりボルゾイのような大型犬で頻繁に発症する遺伝性疾患です。
発症時期は7~8歳頃、発生箇所は四肢が多いということは分かっています。
骨肉腫の症状
骨肉腫の主な症状は以下のとおり
足に腫れがみられる
足をひきずる
散歩に行きたがらなくなった
日が経過するにつれて運動量が減っている
一般的な怪我だと、日にちが経過するにつれて快方に向かっていくのに対し、骨肉腫の場合は経過するにつれて悪化するという違いがあります。
上記のような症状がみられたら、よく観察し、早めに医者にみてもらうようにしてください。
ガンなので、早期発見によって予後が良くなったり、余命を伸ばすことができます。
仔犬の価格
ボルゾイの購入価格は15万円~30万円くらいです。
体の構成のクオリティーなどで価格に大きな差が見られます。
各種カラー系
15万円~30万円
ホワイトベースにレモン色やクリーム色のスポットが入ったホワイト系は日本での人気があり、それゆえ価格も高くなりがちです。
レッド、ゴールド、ブリンドル、ブラック、ブラックホワイトなどの色で体表の半分以上が構成されるカラー系は海外ではポピュラーですが日本では少数となります。
最近では海外からこれらのカラーを購入、繁殖しているブリーダーもいて、徐々に日本での人気の兆しが見られます。
ショータイプ
50万円以上
両親犬がチャンピオンであったり、いわゆる有名犬舎産出、ドッグショーレベルのバランスの良い個体をチャンピオンにするとしてショーチャレンジ費用を含み100万円以上の価格になる場合もあります。
ペットタイプ
10万円~20万円
ノンタイトル、構成レベルがショータイプのように高くない個体。
飼育トラブル(尻尾曲り、耳折れなど)のある個体などは同時期に産まれた他の兄弟犬より安くなる傾向にあります。
※価格は全て生体のみの価格で、登録費やワクチン代などの諸経費は含みません。
まとめ
優雅で独特の雰囲気を持ち、他の犬種では見られない佇まいが最大の魅力とされるボルゾイ。
大型犬ということで容易に飼えるわけではありませんが、しっかりとしたしつけと運動量さえ確保、十分な広さの居住スペースがあれば、飼うことができます。