しつけで直そうと考えている人も、無理に直さなくても良いという考えをお持ちの人も、まずは、犬が甘噛みをする理由を考えてみましょう。
飼い主が理由を把握しておくと、今後、しつけをする際にスムーズに進めていけたり、良い影響を及ぼすことになるはずです。
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甘噛みをする理由は単純
近年、犬の考えと行動について、様々な方面で深く考えられるようになったことで、甘噛みをする理由というのは明確にされています。
犬種や個体によって性格は異なるのですが、犬が甘噛みする理由としましては、ほぼ100%、下記のいずれかに該当します。
歯の生え替わりや口腔トラブル
「甘噛み」の行為が多く見られるのは歯が生える時期の子犬で、口の中に違和感があってそれを解消しようと物を噛むことがあります。
これは相手を攻撃しようとしているのではなく、我慢ができない。ストレスを感じているだけなので、この場合は歯が生えてしまえば収まります。
他にも、口内炎や歯周病などの口腔トラブルが原因で物を噛むこともありますが、これも同様、トラブルを解消してあげることで止めさせることができます。
遊びの延長・興奮している
犬同士が遊んでいる姿を見ているとわかりますが、たいてい口を開けたまま相手の上に乗ったり、下敷きになったり、腕を絡ませたりしながら遊んでいます。
遊びの手段として「甘噛み」があり、これを止めさせることは「遊びを禁止する」ということに繋がりかねません。
遊びを禁止するのはストレスを溜める原因になりますし、興奮させない・コントロールするのは飼い主の役割と言えます。
甘噛み自体を責めるより、遊び方を工夫することで改善することができます。
順位確認
多くの動物が「どちらが強いか」を競い、「順位付け」をします。
強いものがリーダーとなって群を統率し、自然界を生き抜いていく、という本能的な行動によるものです。
順位確認をする時、お互いが傷つかない程度の強さで噛みついたり、相手を組み伏せたり、ケンカをしているような闘争行為をとります。
犬が順位確認のために飼い主に挑んだ時に飼い主が甘噛みを許し、犬を降伏させるような行為をとらなかった場合は、犬が「自分が勝った」と勘違いすることがあります。
「飼い主は自分よりも順位が下」と犬が認識した場合、犬は飼い主の指示をきかなくなります。ですので、この場合の「甘噛み」は「飼い主が勝つ方が好ましい」と言えます。
犬が戦いを挑んできたような場合は、飼い主の方が強いことを教えるために「No!」「ヤメ!」といった短い制止の言葉を使い、犬の動きを封じるとよいでしょう。可能であれば、口を軽く掴みます。
噛まれる恐れがある場合は「一切無視する」「遊びを中断する」といった対応が有効です。
狩猟本能
犬の多くが「狩猟」のために改良を重ねられてきました。
自分よりも大きな動物に立ち向かって戦う、主人の合図に合わせて獲物を捕らえるなど、人は犬の特性を利用した狩猟を行っていました。
こうした犬の本能的な性質は愛玩犬にも残っていることが多く、小さな動くものを見ると狩りの本能が刺激されて噛みついてしまう、というケースは決して少なくありません。
これを禁止するとストレスが溜まる可能性があるので、狩猟の疑似体験のような遊びを日常的に取り入れてあげてください。
ストレスなどによる攻撃
問題行動に多いのが「ストレスが引き金になっている行動」です。
運動量が足りない、狩猟本能が満たされない、繁殖行為を抑制されて本能的な欲求が満たされない、飼い主の愛情を受けられないなど、ストレスの理由は数多くあります。
こうしたストレスが原因で攻撃的な行動に出るケースもあります。
ある程度以上の力になってくると、ただの甘噛みだけどころではなくなってきます。
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まとめ
子犬の頃や興奮していない時は「甘噛み」で済みますが、成長するにつれて、歯がしっかりしてきたり、力ついてがくると、相手に怪我をさせてしまう可能性が高まります。また、興奮した時も噛む力が増します。
理由を分けて考えると「やむを得ない」「犬の特性」と考えられるケースもありますし、「後々、問題に発展する」「トラブルの原因になりうる」「危険を伴う」というケースもあります。
絶対に甘噛みを止めさせるべきとは一概に言い切れませんが、人に飼われ、時に飼い主以外の人とも関わりを持つ以上、やはり、しつけによって止めさせた方が良いでしょう。