ビアデッドコリーは「別名ビアディ」という愛称で呼ばれている、イギリスはスコットランド生まれの中型犬になります。
長毛のもふもふした被毛と口ひげやまゆげを生やしたような顔がユニークで愛らしい姿は、まるで大きなぬいぐるみのようです。
日本での知名度は低いですが、欧米では知られた存在でもあります。
今回は、ビアデッド・コリーの歴史や性格、特徴、購入価格などについてご紹介していきたいと思います。
目次
ビアデッドコリーってどんな犬?
犬種名のビアデッドとは「ヒゲのある」という意味の英語で、その名の通り、顔や口周辺は長い髭のような毛で覆われます。
長い被毛がたなびき、顔も覆われていてユニークな姿をしています。
とにかく飼い主、家族思いで子供にもとても優しい性格をしていて攻撃的なところもありません。
ビアデッド・コリーは非常に能力の高い牧羊犬でスコットランド生まれで、地元では「スコッチシープドッグ」、「マウンテンコリー」、「ハイランドコリー」、「へアリーモードコリー」などとも呼ばれていたこともあります。
嗅覚が非常に発達しているのでトリュフ探しにも使われている犬種です。
のんびりとしてそうな見た目ですが、実際はかなり活発な犬なので、アジリティなどにも向いています。
ビアデッドコリーの歴史
中部ヨーロッパのマーシャル・コモンドールの子孫だという説もあれば、スコットランドのシープドッグとポルスキー・オフチャレク・ニツィニー(ポーランドのシープドッグ)とを交配させた後にスコットランドのハイランズで改良されたとする説もあります。
19世紀末にはスコットランドで行われたショーに参加し、1898年に犬種の基準となるものが定められました。
以後は世界的に広まるというよりも知られた存在として地道に知名度を増していったのですが、戦火の影響で頭数を減らしはじめ、第二次世界大戦が始まる頃には絶滅の危機に陥ります。
そんな絶滅への一途を辿る中、イギリスのウィルソン夫人の努力によって復活を遂げることになります。
当時、ウィルソン夫人は作業犬としてシェルティを探していたのですが、その時、子犬がおらず、別の犬を譲り受けることになります。
その犬が当時、絶滅寸前だったメスのビアデッドコリーでした。
ジーニーと名付けられたビアデッドコリーを育てていくにあたって絶滅の危険性を知ったウィルソン夫人は繁殖を試みるのですが、個体数が絶対的に少ないこともあり、思うようにいきません。
そんな最中、見つけたのがオスのビアデッドコリーのバリー。
これにより、繁殖が開始され、頭数も徐々に増えていくことになります。
そして、1955年にはビアデッドコリークラブが誕生し、以降、ビアデッド・コリーの人気は英国はもちろん、ヨーロッパや米国、南アフリカ、オーストラリアでも着実に伸びていて、今日に至っています。
なお、現在、世界中で知られているビアデッドコリーですが、ほぼ全ての個体が、このジーニーとバリーの子孫であるとされています。
ビアデッドコリーってどんな性格?
ビアデッドコリーはとても活発でシャイでもなく攻撃的でもなく、バランスのとれた性格をしています。
自信に溢れ愛情深く、それでいてやんちゃで遊び好き、感受性も強く、飼い主の愛情を敏感に感じることができる犬種です。
飼い主にはよくなつき、子供が大好きで家庭犬としても申し分ないのですが、ひとりぼっちを嫌がる傾向があります。
元気が良く友好的なビアデッドコリーは、精神的かつ肉体的な刺激を絶やさず与える必要があるので、時間的な余裕とエネルギーのある人には最適な犬種です。
一緒に外出する機会が多く取れて、一頭だけになる時間が少なければ、家庭犬として飼うことも可能です。
犬の習性を知って、正しい愛情たっぷりそそげば、素晴らしい家庭犬になります。
しつけは難しい?
子犬の頃は特にやんちゃな部分もあるので、しっかりとコントロールしなければなりません。
しっかりトレーニングすれば、一頭でもじっと静かに留守番ができるようになりますし、状況判断能力に優れているので、臨機応変に対処してくれます。
無駄吠えに悩まされることもあまりありません。
ただ、ビアデッドコリーの運動量は膨大なので、毎日長時間の散歩は欠かせません。
ストレスは問題行動にも繋がってくるので、一緒にいる時間やコミュニケーションをしっかりとるようにすることが必要になってきます。
ビアデッドコリーは抜け毛が多い?
ビアデッドコリーは長毛で粗く強いシャギー、またはウェービーがかった被毛の下に柔らかい下毛のある二重構造の被毛をしています。
抜け毛はそれなりに多く、とにかく長毛なので、下毛も抜け落ちずに被毛の中でもつれることが非常に多い犬種です。
この長毛によるもつれが原因で毛玉になることがよくあるので、こまめなブラッシングが必要です。
もつれてからでは元に戻らず、バリカンで短くカットせざるを得なくなってしまうので、日ごろの入念なブラッシングを心がけましょう。
また、顔周りの被毛は食事等で汚れやすく、さらには長毛のダブルコートは梅雨時期などには皮膚疾患にもかかりやすいので、とにかく日常的なケアが必要になってきます。
身体の大きさ
体重:18~27 kg
体高:オス 53~56 ㎝ メス 51~53 ㎝
やや大きめの中型犬に分類されます。
体は体高より長く、足はやや短めであるものの、たくましい体つきをしています。
写真などを見ると、がっちりしていた体型に見えますが、これはボリュームのある被毛によるもので、見た目の割に体重が軽いという印象を持つかもしれません。
歩く様は軽快で生き生きとしていて、時々覗く大きな目も印象的です。
寿命
寿命12~13年と言われています。
中型犬としては一般的ですが、気を付けたい病気というのは存在します。
ただ、命に関わる病気を発症することは少ないので、極端に短命になるといったことはあまりありません。
気を付けたい病気
ビアデッドコリーが気を付けたい病気は以下になります。
・白内障
・進行性網膜萎縮
それでは順に見ていきましょう。
皮膚疾患
ビアデッドコリーは皮膚疾患を発症しやすく、膿皮症、アトピー性皮膚炎などに注意する必要があります。
また、寒いイギリスの犬ということで、分厚いダブルコートで覆われているのですが、これは高温多湿の日本の気候と相性がよくありません。
特に気温が上がる5月以降は皮膚疾患のリスクはより高まるので、日頃から飼い主による皮膚、被毛のケアが必要不可欠になります。
少なくとも二日に1回、ブラッシング、コーミングを行います。
また、ご飯を食べた際に顔の毛が汚れてしまいがちなので、都度、ふき取ったり洗う等して不衛生にならないようにします。
白内障、進行性網膜萎縮の
ビアデッドコリーには白内障、進行性網膜萎縮といった眼の病気のリスクがあります。
白内障は進行すると、物にぶつかったり、ふらつくといった症状がみられ、悪化すると視力が失われることがあります。
年齢を重ねるにつれて進行、悪化していく病気です。
早い段階であれば薬によって進行を遅らせることができるので、愛犬の眼の色が濁っていると感じた時は早い段階で病院で診てもらうようにしてください。
進行性網膜萎縮は眼の網膜が委縮し、眼が見えにくくなっていく遺伝性の病気です。
遺伝によるところが多く、防ぐことは難しいとされています。
こちらも進行性で、初期症状としては暗い部屋で歩きにくそうにしたり、物にぶつかったり、動きが遅くなるといったものが見られ、白内障と同様、最終的には視力が失われます。
異常を感じた時はすぐにかかりつけの医者に診てもらうようにしてください。
購入は難しい?価格は?
ビアデッドコリーはJKC登録犬数によると(2017年1月~12月)33頭の登録があります。
一般的にペットショップなどではなく、ブリーダーからの直接購入がほとんどです。
子犬の価格は価格15万~30万円前後。
入手経路が少ないですが、価格的には特筆すべき点はありません。
まとめ
ビアデッドコリーは攻撃的なところのほとんどなく、優しく陽気で穏やかな性格をしていますが、寂しがり屋の一面を持っている犬種です。
日々の生活で一緒にいてあげられる時間が多い家庭と相性の良い犬種であると言えます。
やんちゃな子犬の頃にしつけに苦労することがありますが、信頼関係を築くことが出来れば、特に飼育が難しいことはありません。
飼う機会はなくとも、ビアデッドコリーならではの風貌は一見の価値があります。