
バセンジーは吠えない、猫のような犬、時にヨーデルと呼ばれることもある、少し変わった犬です。
古くから人間と共に歴史を刻んできた彼らは、一体どんな犬種なのでしょうか。
ここではバセンジーの歴史や生態、特徴などについて見ていきましょう。
目次
バセンジーってどんな犬?
バセンジーはコンゴ共和国原産の犬種であり、紀元前から存在しているとされるほど、とても古い歴史を持っています。
無駄がなくシュッと引き締まったボディに長い脚。
そして大きな耳とクルンと丸まった可愛らしい尻尾が特徴的です。
そんなバセンジーはとても優れた身体能力を誇り、かつては狩猟犬として活躍していました。
しかし何と言ってもバセンジー最大の特徴は「吠えない」こと。
もちろん全く吠えないわけではありませんが、無駄吠えや遠吠えなどけたたましく吠えることはないと言われています。
いつも額にしわを寄せた不機嫌そうな顔をしていますが、これは平常モード。
困った時になどにはそのしわがさらに深くなります。
バセンジーの歴史
バセンジーは現存する犬の中でも最も古い犬種の一つであり、その歴史は紀元前7000年頃にまで遡ります。
アフリカ大陸から古代エジプトのファラオ王へ贈られて以来、人と密接な関係を築いていきます。
古代エジプトの遺跡に描かれていたり、王族に献上された記録などが残っていることからも、人間とは遠い昔から生活を共にしてきた犬としても知られています。
しかし、世界に広く知られるようになったのは、19世紀後半に入ってからで、それまでコンゴの奥地でピグミー族と暮らしてきたバセンジーを、イギリスの探検隊が発見したことがきっかけです。
その凛々しい見た目や猟犬としての優秀さから、バセンジーを国へ持ち帰ろうとした彼らですが、その試みはジステンパーに罹ったことにより失敗に終わりました。
3度目にしてなんとか無事に国へ持ち帰ることができ、1930年代に入りようやくブリーディングに成功したのです。
バセンジーはどんな性格?
バセンジーは猟犬であったことからもわかるように、好奇心と独立心が強い性格をしています。
別名、コンゴテリアとも呼ばれており、テリア犬にありがちな気が強く、活発な性格をしています。
飼い主やその家族に対しては忠誠心を見せ、甘えることも多いですが、知らない人に対しては警戒心をあらわにし、決して媚びるようなことはしません。
また、猟犬の性なのか、散歩などで出会った犬に対して攻撃的になってしまうこともあり、他の動物に対しては追いかけ回すこともあります。
(性質上、吠えて威嚇というよりも、ただひたすら静かに追いかけ回すという表現がしっくりくるかと思います)
そういった部分を踏まえても、多頭飼いには向いていません。
一方で、綺麗好きな一面もあり、自身の寝床や居場所が汚れるのを嫌います。
トイレがこれらの場所の近くにあると、明らかに拒絶するので、あらかじめ離れた場所に置くようにしなければなりません。
他にも食事の後に転げまわったり、口をどこかに押しつけて拭う素振りを見せる、自身の手で毛繕いをするのも、時にバセンジーは猫のような性格の犬と呼ばれる一因なのかもしれません。
しつけは難しい?
バセンジーは比較的しつけが難しい犬種だと言われています。
マイペースで頑固な一面があるので、自分が納得しなければ言うことを聞きません。
そのため、しつけには長い時間と根気が必要になってきます。
服従訓練やトレーニングも、強い口調で伝えるのではなく、しっかりと気持ちを汲み取りながら時間をかけて行う必要があります。
しかし、決して頭が悪いわけではなく、むしろ利口であるがゆえの頑固さなので、時間をかけてしつけをすれば大きな問題に繋がることもありません。
悪いことをすればその場でしっかりと叱り、出来た時には思いっきり褒めるといった基本的なしつけを、根気強く行っていきましょう。
無駄吠えが極端に少ない
バセンジーは吠えない犬として有名です。
無駄吠えはおろか、遠吠えをすることもほとんどないので、集合住宅などで飼育するにはうってつけの犬種です。
とは言え、吠えない犬だからといって全く声を出さないというわけではありません。
他の犬種のように「ワンワン」と大きな声で吠えることはありませんが、感情が動いた時には甲高い声を出して飼い主に伝えようとすることがあり、その声は時に「ヨーデル」に例えられます。
たまに大きな声を出すこともあるようですが、騒音になるほど鳴き続けたりすることはありません。
関連記事:吠えない犬種5選~吠えない犬を選んだ方が良い人とは?
大きさ
大きさで見ると、中型犬に分類されます。
とは言え、中型犬の目安は10kg以上25kg未満なので、中型犬の中でもかなり小型な部類に入ります。
身近な犬でいうと、柴犬あたりと同程度のサイズとなります。
寿命
バセンジーの寿命は12~13年と、一般的な中型犬と同程度となっています。
決して短いわけではありませんが、気を付けたい病気はいくつかあります。
気を付けたい病気
バセンジーには気を付けるべき病気がいくつかあります。
・尿結石
・腎結石
中でも特に注意したいのがファンコーニ症候群です。
このファンコーニ症候群とは本来、取り込まれる栄養素が尿と共に流れ出てしまう腎臓の病気で、最終的に慢性腎不全に繋がり、最悪の場合、命を落としてしまいます。
多飲多尿の症状があるので、明らかにそれだとみられる場合は医院で診てもらうようにします。
他にも尿結石、腎結石などの腎臓系の病気や股関節周辺の怪我のリスクも高いとされています。
基本的にブリーダーからの購入になるかと思うので、購入前に親犬について確認しておくのがいいでしょう。
価格
価格の相場は15~30万円といったところです。
安ければ10万円程度で販売されていることもありますが、その場合、生後12ヶ月以上が経過した成犬だからであって、そのような滅多にありません。
非常に珍しい犬種で市場に出ることも稀なので、子犬を購入するとなると、やはり30万円近くになります。
購入は難しい?
名前に聞き覚えがなくマイナーな犬種だと思われがちですが、実は飼育数ランキングではそれなりに上位に入る犬種でもあります。
ですが、流通量は常に少ないのが現状であり、一般的なペットショップで見かけることはありません。
その理由としては、バセンジーは繁殖期が年に一度しかなく、子犬の絶対数が少ないというのが挙げられます。
特に国内での繁殖頭数は少なく、直接ブリーダーを見つけるか、ブリーダーとつながりのあるペットショップを見つけなければなりません。
なお、購入する前にブリーダーの方へ、個体の親犬と遺伝性疾患のリスクについて確認しておいてください。
ここで情報を開示してくれないブリーダーからは信用度という意味で、購入は控えておいた方がいいかもしれません。
※バセンジーは繁殖期が短く産出が難しい上、親犬となる個体が少ないという背景があります。
ここで手間をかけられないブリーダーが販売している個体は遺伝性疾患のリスクが格段に上がります。
まとめ
バセンジーというと、吠えないというイメージが最初に来ますが、それ以外にも魅力はいくつもあります。
この「吠えない」という特性は、日本の住宅事情にもマッチしており、特に集合住宅などで犬を飼いたい、という人にはピッタリの犬でもあります。
入手方法は難しいですが、共に過ごせた時は唯一無二のパートナーになってくれるはずです。